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ダブルケアの体験談から見えるその実情とは?「もう無理!!」って言っていい。

「ダブルケア」それは、その名の通り育児と介護を同時にケアすることだ。

少子高齢化の現代社会においては、早い人で30代から介護の域に入ることも珍しくない。

 

自分の子供がまだ小さいうちに、両親あるいは義両親の介護問題に直面するということ。

他人事であれば「大変そうだね、本当にごくろうさま」で済むことかもしれないが、実際に我が身に起きたとしたら、すぐに受け止められる状況ではないはずである。

 

しかし、向き合っているのは介護そして育児という「人の命や生活」にかかわること。

育児も介護も待ったなしの死活問題、始まったら止まらないのが現実であり、逃げようがないこともある。

 

ダブルケアをすることになると、待ち構えるのはどんな世界なのだろうか。

今回はダブルケアの体験記として、リアルな声を元に対策を考えていこう。

【体験談】ダブルケアの問題はいつ訪れる?答えは「突然」

以下、四葉かなえさんの体験談を元に記事を編集しています。

 

私は30代2児の子持ちで、主婦ライター(書き物をして生計を立てる人のこと)だ。

第1子が生まれたのは、今から10年前。当時20代半ばだったことを思うと、出産が遅かったわけではない。ただ、夫と私が二回り違う”年の差婚”であったというだけだ。

 

2人の子供はすくすく育ち、長男が7歳、長女は4歳という、1年前の冬。同居の義母(80代)が突如として半寝たきり状態に追いやられるという、とんでもない事態が起きた。

 

はじめは「腰が痛い」と言っていた。それが次第に「座っていられない」になり、「寝ていても痛い」へ。翌朝起きたら、ついには「痛くてどうしようもない」とベッドで唸るように。

 

その間、わずか2日程度の出来事。かかりつけの整形外科を受診し、痛み止めを飲んだり、注射をしたり、レントゲンを撮ったり。手を尽くしてもらったが、どれもたいした効果は得られなかった。

あれよあれよという間に、トイレに行けなくなり、部屋から出られなくなった。当時、認知症状が出始めていたので介護保険の申請は済んでおり、ケアマネージャーさんもついていた。

 

ケアマネージャーとは、介護に関しての専門資格を持つ人のことです。介護保険のことや、各種申請の仕方などについて詳しく、介護をする人と行政サービス、生活の支援を可能にするための手続きなど、介護を頑張る人と支援してくれる場所をつないでくれるマネージャーのことを言います。

すぐに全自動のリクライニングベッドと車椅子をレンタルしてもらい、区分変更の審査をしてもらう。幸い滞りなく手続きは済んだ。

しかし、当時の義母は要支援介護保険のサービスもすぐには使えない。かくして、小2、年中の子供2人の面倒を見ながら、腰に爆弾を抱えた義母を介護する『ダブルケア』がスタートした。

 

要支援とは…

高齢者の介護の認定には、階級と種類があります。「要支援」とは、要介護より比較的症状の軽めな判定を受けている、寄り添いが必要な高齢者のいる世帯であることが認定されていることを言います。

 

【体験談】子育てがままならない時も…ダブルケアの想像以上の大変さ

 

我が家の場合、乳幼児がいなかったのはせめてもの救いだった。子どもたちは自分でご飯を食べられるし、トイレにも行ける。私がいなくても、最悪どうにかなる。どうにかなるので、子供のことは後回し。

この時だけは、義母のことを最優先で動いていた私。朝起きて、朝食の支度をする。しかし、義母が室内チャイムを鳴らせばすぐさま義母の元へ飛んでいく。

喉が渇いた、トイレに行きたい、漏らしてしまった…。

義母の身の回りで起きること全てに、私が対応した。

主人はその間、子供の相手。

朝ごはんが作れない、洗濯ができない、なんてことは日常茶飯事で。

それでも何とか食べさせて、子供たちを送り出すのが精一杯。

 

子供のもちもの?服装?髪型?そんなことは、当時の私には些細なことだ。

子供に目が届かなくなる…これは、どうにもならない弊害だった。

 

それでも、私は私で必死に日々と向き合っていた。初めて直視する介護の現場。トイレの付き添い、車椅子を押す、清拭、オムツ換え。よくわからないまま、全てやるしかなかった。

オムツが嫌だと泣く義母に「夜だけだから」と、頼み込んで紙オムツを穿いてもらった。

「痛い、助けて」とか「ごめんね、ごめんね」とか、普段なら口にしない言葉を義母はたくさん言っていた。

体が自由にならず、義母も必死だった。


義母は80代半ば。わけもわからず突然、痛みに襲われてさぞかし辛かったろうと思う。
痛みを抱えて日々生きていくのは、なんとしんどいことか。心身ともに打ち砕かれ、悲嘆にくれる義母には心のケアも必要だった。

私はただただ、義母に同情の念を寄せた。ありったけの思いやりと慈しみを義母に向けて発揮し、ひたすら慰めた。

気づけば、ほぼ一日義母の部屋にいたこともある。

そんな生活を2週間続けた。

そして2週間が過ぎたある日、義母が入院したことにより、我が家のダブルケアは何とか収束を迎えた。

 

義母の腰痛の原因は腰椎圧迫骨折骨が弱いお年寄りは、普段通り日常生活を送っていても骨を痛めてしまうことがある。

もともと義母は骨粗鬆症気味だったのだ。かかりつけの個人医院から整形外科の名医がいる総合病院の紹介を受け、すぐさまの入院。

ようやく差し伸べられた救いの手に、義母も私も涙した。それから三ヶ月の入院生活を経て、義母は自力で歩けるまでに回復。現在は自宅で、家族とともに生活している。

【体験談】ダブルケアに慌てないための対策とは?

今回の一連の騒動から、健康のありがたさを改めて感じるとともに、たくさんの教訓を得た。ダブルケアの実体験から、やっておいてよかったと思う3つのことを以下にまとめた。

1.かかりつけ医を持つこと

高齢者にとってかかりつけ医は、ただ単に病気を診てもらうことだけではない。

  • 必要な医療情報の紹介
  • 他の医療機関への紹介状発行
  • 保険に関する相談

単純に病気になったときに世話になるだけでなく、介護者に対してどんなケアや待遇を受けることができるか相談する窓口のような役割も担ってくれることがある。病院の質によって対応の行き届き加減は異なるが、信頼できるかかりつけ医をみつけておくことは介護の第一ステップであると考えてほしい。

かかりつけ医のメリット①大きな病院への紹介が受けられる

万が一高齢者に大きな病気が見つかったり、手術が必要になった場合、個人病院では対応しきれない。かかりつけ医を通さずに大きな病院を受診する場合、初診料や再診料が発生する。これは選定医療費といい、初診時で5,000円、再診でも2,500円を負担する必要が出てくる。介護にかかる医療費負担を軽減するためにも、かかりつけ医を通しておくことをおすすめする。

かかりつけ医のメリット②往診などの在宅医療も受けられる

現在医療業界では、進む高齢化に伴って外来だけでなく在宅医療を取り入れる病院が増えている。まだまだ普及率は高くないものの、こうしたサービスが受けられるようになることを見越して、まずはかかりつけ医を作っておくことから始めると良いだろう。

2.貴重品や保険証、お薬手帳の所在を明確にしておくこと

高齢者の認知症が進むと、貴重品や保険証、お薬手帳などの大切な物をどこに保管したか忘れてしまうことが多々ある。

我が家の場合、主人が介護に対してしっかりした考えを持っていたため、貴重品管理等も日頃から話し合っていた。

そのため、義母が所有する通帳や印鑑、医療関係の書類などの管理の移行はスムーズであった。高齢者の認知症は、思っているよりも早いペースで進んでしまうこともある。また、入院などの環境の変化によって急激に認知度が低くなってしまう場合もあるため、今すぐにでも貴重品や重要な書類の管理を進めてほしい。

3.一時的に子供の世話をしてくれる人を探しておくこと

ダブルケアでは、介護だけに付きっりにならざるを得ない。するとどうしても、自分である程度のことができる子どもの方に手が行き届かないのはいたしかたのないことである。

私の場合、ダブルケアの真っ最中は家事のどれもこれも中途半端。子供たちは放りっぱなし、慣れない介護に振り回されて、私はすっかり心をなくしてしまった。

畳んでいない洗濯物の山、食べっぱなしの食卓。無法地帯でテレビをダラダラ見続ける子供たち……「こんな生活無理だ」そう思っても、解決の糸口が見つからない。先の見えない日々に我が身を削る暮らしは、想像以上に辛かった。

このときの教訓から、やはり子どもの心や生活を守るためにも、一時的に預ける人やサービスを利用するのが最善策だと感じている。

1.実家の両親や親せきに預ける

実家の両親や親せきなど、身内に頼れるのであれば、詳しい事情を話して子供たちの世話をお願いできるとよい。介護をする人にとって「子供の世話ができていない」「家事が溜まっている」というこの状況は大きなストレスになる。

もちろん子供の心や生活のケアを行う目的でもあるが、介護する人のストレスや疲労を少しでも軽減するために、身内の手助けは必要不可欠である。

2.信頼できる友人知人

実家に頼れない、身内に協力してくれる人がいない場合、少しの間でも子供たちを預かってもらえるように頼むことも必要だ。普段から自分が親しくしている友人知人にも、勇気を出してヘルプを出してみてほしい。それなりのお礼をしっかりと用意すれば、快く預かってくれる人や、手を差し伸べてくれる人がいるのではないだろうか。

3.地域のファミリーサポートや家事代行事業

身内も友人も頼れないのであれば、行政・民間問わず、子供の預かりや家事代行サービスなどを利用してほしい。ファミリーサポート事業は、地域の子育て支援や福祉事業などに問い合わせてみよう。区役所や市役所に電話して、現状を話せばどんなサービスが受けられるか案内してくれる。

また、最近では家事代行サービスなども充実し始めている。

  • 家事代行
  • ベビー、キッズシッター
  • 宅配食材業者

この辺りは、共働きで忙しい方なども積極的に使っているサービスである。ダブルケアで手が回らない場合にも大いに役立つものだ。

4.介護保険の認定を受けておくこと

介護保険認定とは、高齢者が「どの程度の介護をどの程度必要か」というレベルを判定するものだ。この介護認定の判定結果によって、受けられるサービスなどが異なるため、早めに介護保険認定を受けておくことをおすすめする。

我が家の場合、主人の意向で介護保険の認定を早めに受けていたことにより、様々な手続きがスムーズに進んだという経緯がある。

介護認定には、7つの区分があり、レベルによって介護保険の支給限度額も異なるのだ。我が家の場合、義母が「要支援」という区分であったために、すぐにサービスを利用できなかった。必要なときに必要な支援を受けるためにも、介護認定は早めに受けておこう。

5.介護者のケア

いちばん疎かにしてしまうのが、介護者の体力と心のケアである。

身体のケア、メンタルのケア、もろもろの負担は多大なものであり、私は正直受け止めきれなかった。あのまま、オムツ換えと心身のケアに振り回される日々が続いていたらと思うと、恐ろしくなる。ダブルケアの心身の負担を少しでも軽減するためには、介護者に寄り添ってくれる人の存在も欠かせないと痛感した。

相手は誰でもいい。家族でもいいし、ケアマネ―ジャーでもいい。同じような介護やダブルケアで悩んでいる人と繋がって、情報交換や相談をするだけでも違うと思う。決して一人で抱え込まず、誰かにSOSを出したり、愚痴を吐いて心のバランスをとったりというケアが必要だ。

【体験談】ダブルケアの最大の敵は「ストレス」

認知症は進んだものの、義母は家の中を自分の足で移動する。家の中では歩行器を使い、自室とリビングを行き来し、外出時のみ車椅子を使用する。

介護サービスとして、入浴介助と足腰の機能訓練、ショートステイ等を利用しながら生活している。なにかと心配事は尽きないが、それでも笑顔で過ごす余裕はある。

一部介助と見守りは必要だが、一時ほどの切羽詰まった状態では無い。

一方、認知症の進行により出来なくなったこともある。金銭管理、投薬管理は私の仕事。同じ質問と答えが一日に10往復するのは当たり前。家族の助け無しでは、平穏な生活は難しいだろう。

最後に:ダブルケアによって精神的にまいらないように

義母が痛みと戦い、私が心とからだのケアに明け暮れたあの2週間。我が家はたまたま「もう無理!」と言う前に、最悪の状態から脱することができた。でも本当はその前から「もう無理!」と、心が何度も叫んでいた。

今思えば「もう無理!」と、ヘルプを求めるのは正しい。私が力尽きてしまったらそれこそどうにもならなくなるから、力尽きる前に「もう無理!誰か助けて!!」と、発信すべきである。

子育ての負担は、時の流れとともにだいたい軽減されていく。しかし、介護の負担が軽減することは稀だ。

介護者がダブルケアに忙殺されたら、家庭内はどうなってしまうのか?家族を想い、子を親を想うなら、介護者は誰よりも自分を労ろう。健康で元気な大人も、育児と介護の板挟みにあっては体力も気力も蝕まれていく。

ダブルケアに立ち向かうなら、SOSを言える環境も合わせて用意しておきたい。SOSは育児と介護の両方を担うあなたを、守ってくれるはずだ。

現在、「ご飯が美味しい」と、にこにこ微笑む義母のその姿は、私の心の安定剤でもある。
今でも尚「ダブルケア」は続いている。しかし、一時期の壮絶さはそこにはない。願わくばあの日々には戻りたくない。

どうか一人で頑張らないで、助けを求めよう。
支え合い許し合うことで、家族は成り立っているのだから。

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