
毒母って家庭環境やタイプが違っても、共通している部分が多くあるって知っていましたか?
子供の毒になる親は「毒親」といわれ、その多くが母親であることも共通点のひとつです。
母親は子供と一緒に過ごす時間がどうしても多くなる上に、父子家庭よりも母子家庭の方が多いことからも「毒母」の割合が高まるのは事実。様々な環境や境遇があるのにもかかわらず、共通する部分が多いというのは実におもしろい現象です。
この記事では「毒母あるある」をもとに、その心理や行動の原因を深く分析します。
子供を振り回す「毒母あるある」

基本的に、毒母になる人は「自分の視点がすべて」になっています。子供の気持ちがわからないわけではないのかもしれませんが、それ以上に「自分の気持ち」が強すぎるのです。
泣く・怒る・嘆く……子供をカウンセラーにする
毒母の特徴で圧倒的に多いのは、子供をカウンセラー代わりにしてしまう人。
本来、親は子供のできごとや感情を「聞いてあげる」立場であるのが理想です。もちろん、常に完璧にそうできるわけはないのですが、基本的なスタンスは、子供の受け皿が親でなければなりません。
しかし、毒母の場合は、母親の受け皿が子供になっています。
- 父親の愚痴
- 仕事の愚痴
- 人間関係の話
- 嫁姑問題の話
- お金の話
- 子供の友達や保護者の愚痴
こういった「大人が感じる問題点」を子供に聞かせてしまったり、子供に意見を求めたりする毒母ってすごく多いんですね。
常にそこには「私がかわいそう」「私は悪くないよね?」という被害者意識や、確認のような意識がみられます。
子供の小さな問題を大きくし、大きな問題を小さく見積もる
毒母の共通点として多いのは、常に「自分が中心」であること。
するとどうしても、子供に起こった問題や、子供が直面している感情も「毒母目線」で見積もることになります。
例えば、子供がすごく強い不安を抱えて親に何かを訴えたとしても、そのときの親に受け止める余裕がない場合「そんなこと、平気でしょ」という見方をします。
逆に、子供としてはそんなに大ごととして捉えていないことや、さほど気にしていないことでも、親が暇だったり、親としての本領を発揮できる余裕があるときなどは「大変だわ!私が何とかしなきゃ!」と張り切って、周囲に働きかけます。
常に「子供がどう感じているか」や「子供が何を求めているか」ではなく
「自分が今どういう状況か」「自分が何をしたいか」の方が強いのです。
自分の機嫌や状況次第で対応が変わる
気分や状況で、子供への対応が変わるのもあるあるです。前項の「問題の大きさの見積もり方」にも通じますね。
これって実は、大人になってからも同じで、それに子供が振り回されることはよくあるものです。
例えば……
- 自分が忙しいときは何の連絡もない
- 暇になったり不安になると連絡してくる
- 突然プレゼントを贈ってきたり、機嫌をとってきたりする
大人になっても、常に自分の都合で接触します。もちろん、私たち子供が色眼鏡で見ている部分もあるのかもしれません。しかし、常に一貫性がないのが特徴です。
「最近静かだな」と思ったときは、仕事や遊びで忙しいときです。その点「なぜこのタイミング?」という状況で何かを要求してきたり、突拍子もない贈り物や愛のメッセージを送ってくる……なんてことも。
常に誰かを「味方」につける
毒母になってしまう人は、基本的に不安な人です。
そのため、常に誰かを味方につけるというのもあるある。
毒母になる人は、自分が不安になったときに子供を味方につけようとしてきました。子供をカウンセラーにするのは、孤独を感じたときに子供を味方するための行動です。
一方、子供に対して怒りや不安を感じることがあると、いつも味方をしている子供が今度は「敵」になります。
すると、他の家族や兄弟、学校の先生、子供の友達など、関係のある人を誰彼構わず味方につけます。
例えば、「お父さんも言ってた!」「先生も言ってた!」などと、他の人も自分と同意見であることにしたり、他人に「あの子は、ちょっとおかしいんですよ」などと話す。
根拠もないのに「〇〇ちゃんなら、そんなことはしない」と、兄弟や子供の友達を引き合いに出す。父親や学校の先生の意見に惑わされて、寝返るなんてことも、あります。
常に「私は悪くない!」ということを、証明したい気持ちでいっぱいなのです。
自分の不安を和らげるために、立場を利用する
子育ての不安や、気持ちの衝突などが起こると「立場」を使って自分の不安を和らげようとします。
子供は親から養育される権利をもっているのに、その権利を奪おうとするか、脅します。
- 誰のおかげで暮らしているのか
- 私が産んでやった
- 何もできない子供のくせに
- お金を稼げないのだから従え
このように、当たり前の親子関係という立場すら、武器にします。
どうやっても子供が太刀打ちできない部分で戦ってくるため、子供は当然敗北感でいっぱいになります。これは大人になっても続いているケースも多いです。
毒母に共通することは、常に「不安」で言動している点

毒母になってしまう人は、常に不安を抱えています。
不安になったときに怒りが爆発する、不安になったときに子供を敵だと思い込む。
感情のコントロールが、とても下手なのです。だからといって、子供を攻撃したり、ネガティブな感情を使って子供をコントロールするというのは、大きな悪影響を与えます。それによって、あなたは今でも苦しんでいるのかもしれませんし、今後どう付き合っていけばいいのか、わからないという人もいるでしょう。
「毒母あるある」をネタにするのは、毒親育ちを卒業するため

親のことや、自分のことは、客観的にみるのが難しいものです。「自分の中の当たり前」に支配されたり「これをつらいと思っていいのか?」というところで足踏みしてしまうことも多いのではないでしょうか。
自分の身に起こったこと、自分が感じたことは、自分以外の誰にも本当の意味で理解してもらうことはできません。だからこそ、あなたが母親を「毒母と呼ばれる人だ」と思うなら、距離をとっていいのです。その判断は自分だけの感覚でくだしていいのです。
今回、毒母あるあるを書いたのは、こういった親との関係に悩んだ人が、ここにもいるよということを伝えたいと思ったから。
私たちの当たり前は、世間一般の当たり前ではありませんでした。だからこそ、大人になった今もマイノリティになっている部分があると思うのです。でも、世の中には人に言えないだけで、毒親育ちを経験している人がかなりたくさんいます。そんな毒親仲間は、もっと軽いトーンで、明るく「毒母あるある」を話すことで、マイノリティから脱却できるんじゃないかとも、感じます。
仕事の愚痴を仲間と話して「あ~少しスッキリしたから、また明日から頑張ろう」と思えるような。
「こんなこと言われた~腹立つわ!」という軽いノリで、文句を言える相手って結構大事です。
乗り越えるためには、思い切り吐き出したり、本気で共感してもらったりする機会が大事。あなたの仲間はここにもいます。「毒母あるある」を教訓にして、毒親育ちから卒業していけたらいいですね。
筆者自身、毒親育ちですが「親を変な人だと思っていいのだ」「親を尊敬できない自分でいい」と思えたのは、田房永子さんの母がしんどいを読んだのがきっかけでした。
うちは特別貧しい家でも、わかりやすい虐待のあった家庭でもない、両親がそろっていて……そういうことを考えると、親に感謝ししなければならないのではないかというという気持ちと、親が憎いという気持ちとの葛藤で苦しくなりました。
田房永子さんは、心のどこかに漠然と抱えていたものをはっきりと絵や文で表してくれます。毒母に悩んでいる人は、是非一度読んでみてください/Kandouya編集部
母がしんどい/田房永子