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岡田准一主演映画【来る】っていったい何が来るの?※ややネタバレ

映画「来る」ってどんな映画?

ヤバいを使わない人も「ヤバい」しか言えない。何でこの映画、全然話題になってないの?数々の賞を総なめにして、レビューやSNSで賞賛の嵐が巻き起こっていいはずなのに、なんでこんなに評価が低いの!?この映画が評価されないって時点で、日本に未来はないってことなんじゃないの?

映画【来る】基本情報

「最恐エンターテイメント」と謡っている本作だが、まさにそのとおり。怖いけど素晴らしいエンターテイメント。そして、強いメッセージ性と緻密なストーリー。劇中に登場する何気ない描写やモチーフまで、すべてが「スゴイ!」

キャスト

イクメンパパ(田原秀樹):妻夫木聡

育児ノイローゼの主婦(田原香奈):黒木華

キャバ嬢霊媒師(比嘉真琴):小松奈菜

オカルトライター(野崎和浩):岡田准一

タレント霊媒師(逢坂セツ子):柴田理恵

民族学者(津田大吾):青木崇高

日本最強の霊媒師(比嘉琴子):松たか子

監督・脚本

監督・脚本は、エンターテイメントの帝王である中島哲也だ。CM演出の巨匠などともいわれる、映画監督・CMディレクターだ。人の心を一瞬にして掴む彼の演出を、ぜひ見てほしい。

中島哲也は、興行収入38.5億円をたたきだした大ヒット映画「告白」の監督でおなじみだ。

【中島監督の監督映画作品】

  • 嫌われ松子の一生
  • パコと魔法の絵本
  • 下妻物語
  • 告白
  • 渇き。

などがある。どれも色鮮やかで、独特のカットが多い作品だ。スローモーションやCGなどを使ったり、実写の中にアニメーション映像を挿入するなど、他にはない作風が特徴的だ。映像と音楽は対照的なものを合わせているようにも思うが、そこがまたミスマッチでカッコいい。わかる人にはわかるという、美的センスが光る。

原作

原作は澤村伊智の小説「ぼぎわんが来る。」

2015年、第22回日本ホラー小説大賞の大賞受賞作(章の受賞は、澤村電磁という名義、タイトルは「ぼぎわん」)

日本ホラー小説大賞は、受賞にふさわしい作品がなければ「該当なし」とすることもある、非常に厳しい賞である。この大賞を受賞したとき、審査員は圧倒的一致で「ぼぎわん」が最優秀と判断されたのだ。原作が既に高評価で、構成や裏取りが素晴らしく巧妙なのがスゴイ。それを映画がまったく潰していないのが、本作の素晴らしい掛け合わせだ。

結局何が「来る」の?

本作のタイトルは「来る」。受け手は「いったい何が来るのか?」を知りたくてこの映画を観ることだろう。しかし、この映画では最初から最後まで何が来るのかはっきり語られないまま終わる。来るものの正体は、受け手に全ての解釈を委ねられている。自分の生活や、現代社会、人間模様をよく見ている人、物事の本質を見極められる人にしか、作者のメッセージを受けとることはできないだろう。いったい何が来るのか、そしてそれはどこから来るのか、言葉で説明しないのがこの作品最大の魅力だ。

それを「意味がわからない」「駄作だ」といって批判する声も多いのだけれど、筆者としてはこの映画の意味がわからないのは、正直ヤバい。

豪華なキャストと意外なキャストの迫力

本作のキャストは、豪華な顔ぶれである。好感度の高い妻夫木聡は、うっとおしすぎるSNS依存男を熱演する。主演の岡田准一は今やジャニーズというブランド名を忘れるほど、素晴らしく味のある俳優であることは間違いない。また、美人モデルの小松奈菜はパンクファッションに身を包んだキャバ嬢で霊媒師という、ぶっ飛んだ役柄に挑戦している。小松奈菜のこれまでのイメージを覆すような演技とキャラクターも見逃せないだろう。見るからに人の好さそうな黒木華は、真面目過ぎて追い詰められ、次第に道を踏み外していく女性の一生を見事に演じた。

松たか子も、今や「毒や闇のある役」が定着しつつある実力派女優である。一見清純派のように見える彼女が、淡々と恐ろしいことをつぶやくその姿、そして日本中の誰もが恐れる「あれ」に冷静に対処していく姿がかっこよすぎてしびれる。

そんな豪華な俳優たちの中、意外なキャストとして目立っているのは柴田理恵だ。彼女はベテラン女優でありながらも、バラエティーやトーク番組でフランクで気さくなキャラを確立している。しかし、本作では誰よりも不気味で強くて優しい、タレント霊媒師を熱演。この意外なキャスティングも見逃せないポイントだろう。

息をのむストーリーとはこのことだ!

息をのむ、瞬きもできないストーリーとは、まさにこの映画のストーリーのことだ。この映画はまず、ホラー映画としてジャンル分けされている。多くの受け手は、来るのは「幽霊」や「化け物」だと思っているだろう。確かに、迫り来る「あれ」とはこの世のものではない、目に見えるものではない。でも、確かに強い念をもった化け物なのだ。

ここでネタバレしては面白くないが、この映画では霊的な現象が度々起こる。それにより、不可解な死が度々訪れる。どう考えても、生きている人間の仕業ではない現象が起こる。でも、それはスピリチュアルなものではない。霊的な物の存在でかたづけられるほど、単純なストーリーではない。果たしてそれがどういう意味なのかは、本編で!

演出がかっこよすぎて震える

キャストやストーリーも去ることながら、なんといっても演出のかっこよさには震えてしまうほど。本作の中盤には除霊のシーンがあるのだが、除霊という概念を覆されるほどカッコいい。カメラワークと音楽でここまで日本の「伝統」や「宗教観」が素晴らしいと感じられる映画ははじめてだ。もちろん、単純に日本の伝統や宗教といったものが素晴らしいというだけではなく、そこに隠されたメッセージを読み取れるからこそ、おもしろくてカッコいいと感じるのだ。

筆者は、正直ド派手な演出が好きではない。ハリウッド映画やアクション映画は好まない。それでも「来る」の派手でダイナミックな演出は最高だと思うし、この形が最恐だと思う。人間たちの闇や念を、しんみり、どんより語るよりも、こうしてド派手でアグレッシブに描く方が、本当に闇を知っている人たちの賞賛を得るのかもしれないと感じる。

「来る」は現代の闇や問題がすべてつまった最恐エンターテイメント

映画「来る」には、現代人の心の闇や社会問題がすべてつまっている。もちろん、今の時代に社会問題となっているものは、今に始まったものではなく、単純にメディアや文化が進化したことで「明るみになった」というだけ。今世間を騒がせている「社会問題」はとうの昔からずっとあったもので、今突然浮上してきた問題ではない。

それでも、現代人は「最近の世の中はこわい」「現代人は〇〇だ」というように、一面だけを取り上げて騒ぎ、他人事のように批判し「自分だけは大丈夫」と過信している。本作は、そんな平和ボケしながら生きている人々に、ドカンと衝撃を与えるような作品だ。しかし、その意味をしかと受け止められるかどうかは、あなた次第。この映画を「最高にヤバい」と感じるか「意味が解らない」と笑うか。あなたは、どちらだろうか。

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