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【考察】映画『YESTERDAY』のジョン・レノン登場は、パラレルワールドを意味していると思う。

画像出典元:映画『イエスタデイ』公式サイト

ある日突然、誰もビートルズを知らない世界になってしまったら。

史上最も人気のある100のロックバンドでも1位に輝く世界的に有名なバンド、ビートルズ。とっくに解散し、メンバーうち2人はすでにこの世を去っているのに、今なお愛され続けている彼ら。

もし、世界で自分だけがビートルズの曲を知っているとしたら、どうするのかというのが映画「YESTERDAY」のストーリーだ。

筆者は、小学生のころから、ビートルズが大好きだった。父親の影響が強いが、いつしか本当に思い入れのあるバンドとなった。

それは、ビートルズが私にとって、生まれて初めて耳にした「ネガティブで暗い歌詞を歌う人達だった」からだ。

小学6年生のころ、ちょうどビートルズ1が発売され話題になっており、私は父親にねだってCDを買ってもらった。その中に収録された「エリナ―・リグビー」という曲に無性に心惹かれて、歌詞カードを何度も読んだ。

全ての孤独な人々はみんなどこから来たの?

ああ、見てごらんよ全ての孤独な人々を

エリナー・リグビー、教会の中で死んで

そして名前とともに葬られた

誰も来なかったよ

マッケンジー神父、手から土を掃いながら

墓から歩いて来る

誰も救われなかったよ


エリナー・リグビー(意訳)⁻TheBeatles

自分でもよくわからなかったが、とにかくこんなに暗い歌詞ははじめてだった。ビートルズは「愛」をテーマにしたバンドであり、レット・イット・ビーやオール・ユー・ニード・イズ・ラブ、ヘルプなどといった、美しい曲や明るいポップソングで知られている。

エリナー・リグビーもトップ入りした名曲だが、ここまでダイレクトな「悲しみ」を歌った曲に出会ったのは初めてだったのだ。

ビートルズの出会いはさておき、今年公開された映画「YESTERDAY」を私なりに考察してみた。※ネタバレあり

この映画のテーマは愛、ビートルズのテーマも愛

YESTERDAYの映画レビューには「ストーリーが単純すぎる」「善人しか登場しない」「ひねりがない」といった物足りなさを挙げる声も多い。確かに、私もこういった単純なストーリーの映画よりも、複雑でダークな映画を好むため、普通だったら好かないジャンルかもしれない。

でも、この映画のそもそものテーマは愛だと思うのだ。

売れないミュージシャンのジャックを支え続ける幼馴染のエリー。そして音楽やビートルズへの愛をもっていたジャック。愛をもとめて揺れる男女。偏屈だった男が愛に目覚めたり、人間をお金儲けの道具としか考えない愛に反する人たち。最後は、本当に大事なことに気づいて、名声も富も手放して愛に生きることを決めたジャック。あのラストシーンは、涙なくしては見られない。

恋人への愛。親子の愛。友達との愛。音楽への愛。そして、ビートルズへの愛。

いろいろな愛が描かれている。どんな映画ももちろん、根底には愛があるものだが、やっぱりこの映画のテーマは「愛こそすべて」。

ビートルズのテーマはいつだって愛だったからだ。まさに、オール・ユー・ニード・イズ・ラブ。

他のバンドでは、このストーリーは成り立たない。元々はリーゼントで不良の音楽として始まったビートルズは、お金儲けの道具になりながらも愛を歌い続けた。ただ音楽が好きだっただけの若者が、名前や規模が大きくなればなるほどいろいろなことに巻き込まれ、批判を受け、脅迫されていた。もちろん、世界中で愛されていたけれど、それだけじゃなかったはずだ。

そして、反戦運動をしていたことでジョンは1980年に暗殺されてしまった。

ビートルズのいない世界は、パラレルワールド

売れないミュージシャンをしているジャックがある日、自転車で移動中に車に撥ねられた。その瞬間、世界中で大規模な停電が起こり、一時的に世界が真っ暗になる。ただ、すぐに通電し、人々は何事もなかったかのように日常に戻った。

しかし、それはジャックがパラレルワールド、つまり「並行世界」に迷い込んだと解釈している。

劇中では停電のあと、ビートルズだけでなく、バンドのOasisや炭酸飲料のコカ・コーラなども存在しなかった。

ジャックが異変に気づいて必死にグーグル検索をかけるシーンで私はピンときた。これは並行世界の話だと。後に、年老いたジョン・レノンが登場したのがその証拠である。

パラレルワールド、並行世界とは「同じ世界が選択の数だけ存在している」というもの。私たちが今生きている世界はひとつしかないというのは間違いで、「今日会社を休んだ自分」の世界も「今日会社に行った自分」の世界も並行して存在しているという概念。

イエスタデイの世界が微妙に変わっているのは、この並行世界に間違って行ってしまったからなのではないかと考えた。

私たちは常に「選択」を繰り返して生きている。この映画だって、ジャックがさまざまなことに迷いながらも何かを選択して、最終的にハッピーエンドになっている。

そして「ビートルズがいない世界」では、ジョン・レノンが生きていた。本来の世界では40歳という若さで死んだはずのジョンが、78歳の姿で登場する。そして「愛」についての後悔を語る。ビートルズがバンドとして成功し、売れていなかったからジョンは生きていたのだ。

皮肉だけれど、ジョンは成功したから殺されたといっても過言ではない。世界は、選択の数だけ存在するというパラレルワールドを意味しているとしたら、直感を信じて選択していくこと、愛に従って生きることの大事さというのもまたメッセージとして含まれているように思う。

私たちが生きているこの世界と宇宙は、愛で繋がっていると本気で思っているから。

映画YESTERDAYとの出会いこそ「パラレルワールド」

この映画を観に行こうと言い出したのは、私ではなく家族だった。私は「ビートルズは大好きなんだけど、今仕事が忙しいんだよなぁ……」なんて内心思いながらも、言われるがままについて行ったのだ。

しかも偶然なことに、私はこの映画を見る数日前から「愛」についてずっと考えていた。愛に忠実に生きること、本当の愛とは何かを考え続けて生きようなどと、現実離れしたことを毎日考えていた。そんなときに観たからこそ、こんな解釈をしているのかもしれない。

ただ、私がもし、ビートルズを知らなかったらこの映画を観ようだなんて思わなかった。私がビートルズを好きじゃなかったら、家族は「一緒に行こう」と誘わなかったかもしれない。そして、パラレルワールドに興味も知識もなければ「ちんけなストーリーだ」と感じただろう。そして、私が「愛」について無関心であれば、こんなに分かりやすいハッピーエンドにボロボロ泣くことは絶対になかった。そして、こんなに熱烈な記事を書くこともなかった。読者のあたなもきっとこれを読むことはなかった。

映画に限ったことではないが、本当に生きているだけで素晴らしいと思える。選択のひとつひとつが、今に繋がっていて、価値をもっているんだと思う。

だからこそ、「愛」に忠実に「直感を信じて」行動することって、すごく大事なのではないかと思う。レット・イット・ビー、あるがままに。

YESTERDAYを観て、宇宙まで頭が飛んでいく私はおかしいのかもしれないと、少し迷っているが、それでもいいと思う。映画や音楽から何を感じ取るかは自由だ。

最初に出会った「エリナ―・リグビー」は私に「悲しみや孤独にも、愛は隠れている」と教えてくれていたのだろうということも、わかった気がした。/Kandouya編集部

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