「人生うまくいかないよ、どうしたらいいんだ」
さっき私は、小学生の息子にそんなことを愚痴ってしまった。
子どもに愚痴を話すのはいけないこと……といわれていたりもするけど、ちょっとだけ他人の意見を聞きたくなったのである。
「なんか人生思うようにいかないんだよ。私、理想とか目標が高すぎるんだと思う」
気づいたら、小学校5年生になる息子にそんなことを話していた。
「十分頑張っているのに、頑張っていると思えないんだよ。まだ足りない、まだ足りないって思ってしまうんだよね」
そんなことを話すと息子は
「自分でラクを作らないといけないんだよ」
なんて言うのである。
本当にその通りだ。自分で、自分を苦しくしてしまうのが一番の原因だということはわかっているし、調子のいいときはそれができる。
今ある幸福感に身を包んで「私はじゅうぶんに満たされている」と実感することだってある。
でも、なんだかまたしばらくすると「できない自分」「うまくいっていない現状」に頭の中を占領されて、焦る焦る。
何が不安なのか、今何をすべきなのか、私は何が欲しいのかも、わからなくなるときがあるのだ。
理想と現実のギャップの間にあるものが「感情」

昔買って、途中まで読んでいた本の中にこんなことが書いてあった。
「理想と現実の間にあるものが、感情」であると。
自分の中によくない感情が生まれるときは、決まって理想と現実の間が開きすぎている。
個人差はあるけれど、理想が高すぎる場合もあれば、自分の現状を低く評価している場合も往々にしてある。
私の場合、理想は高く、しかも現実をきちんと評価することができていないという、二重のダメダメな状態がときどき起こる。
負けず嫌いな性格であったり、固定観念が強かったり、完璧主義であったりと、本当に何十もの自分を苦しめる要因がある。
自分がなんとなく目指している「理想」はどこからきたイメージなのか。そして、自分の今はそんなに評価できないダメな状態だろうか。
これはときどき振り返って、自分を錯覚から目覚めさせてあげる必要があると感じている。
でも、それを「わかっちゃいるけど、ときどき忘れて苦しくなっちゃう」のが人間なのだとも、思う。
「ラクは自分で作らなくちゃいけないんだよ」
20歳も人生経験の少ない息子は、ラクは自分で作らないといけないと言った。
結局は自分で自分の首を絞めているということだ。理想や目標を高く設定しているのも自分。それに、自分を自分でオールOKにできないもの自分なのだ。
自分で自分をラクにしてあげなくちゃいけない、本当にそのとおりである。
私はそのとき
「でもさ、ラクしようとすると周りの人が『もっと頑張らないと』なんて言ってきたりもするじゃない?」
と聞いてみた。
すると息子は
「そんなの関係ない。なんでそんなことを周りに決められなくちゃいけないんだよ、ふさけんな。」
と言うのである。
……ただ、それは息子自身も「本当はそうして生きていいんだけど、なかなかできない」という思いを抱えていると、親の私から見ていて思う。
息子と私はよく似ているから、きっと息子自身も「頭ではそうわかっちゃいるけど、できない」のだ。
実際自分がラクをしようとしても、できないという現状に頭を悩ませることは多々ある。
私も、こうして「人生において大事な考え方や考察」を発信してはいるものの、自分がそれをすべて実践できているかといったら、完全にそういうわけではないのだ。
言葉はブーメラン。自分に向けた言葉が、相手を経由して共振している

みんな、きっと誰かを励ますことで
自分を励ましているのかもしれない。
自分が人に言われて嬉しい言葉、自分に言い聞かせたい言葉を、人にかけてあげることで自分が救われているのだ。
息子が私に、さも人生の先輩かのように言ってくれた言葉は、確かにありがたかった。でも、きっと彼自身もそういう風に生きる方法を模索しているのだろう。
人からもらって刺さる言葉というのはきっと「相手のために」という恩着せがましい言葉ではないのだろう。
「自分もそれができずに苦しんでいるから、気持ちがわかる」というのが本当のところであって、その共感や共振が、言葉を飛び越えて人の心に突き刺さってくるのだろうと思った。
言葉はブーメランという言葉がある。
それは、「言った言葉は自分に返ってくる」ということももちろんあるのだけど
共感からくる「自分に対して言い聞かせる言葉」が、相手の心を経由しているという意味もあるのかもしれない。
相手のために、相手に向かって何かを与えようとする言葉は、なかなか響かないことが多いものだ。
でも、それを心のどこかでわかっている人は、自分が言って欲しい言葉を、人との会話に見せかけて自分に向けて発していることがある。
感性や性格が似ている人の心が通じ合いやすいのは、結局どちらも「相手を変えよう」として言っているのではなく「自分に向かって」言っているだけなのだ。
だからこそ、押しつけがましさも、うざったい感じもしないんだろうなぁ。
言葉はブーメランとは、よく言ったものだ。/夏野新
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