
強く言われると身体が固まって、頭が真っ白になって何も考えられなくなる。
たとえ自分にも言い分があったとしても「でも、それって〇〇じゃないですか?」なんて絶対に言えない。言える気がしない。
誰かに強い口調で何かを指摘されるのが心底苦手な人って、けっこう多いんですよね。筆者もその中のひとりで、子供の頃からきつい口調や、強めの当たりが本当に無理でした。
強い口調で言われると、何もできなくなってしまう

同じことでも、突然ガツンと言われたり、イライラした感情を出して強めに言われてしまうことで、身体が硬直するような感じがします。そして、思考がストップしてしまい、神経が高ぶっている感じが自分でよくわかります。
頭が真っ白になってしまう
誰かに強い口調でものを言われると「思考停止」してしまいます。だから、相手に言葉で答えを返すことも難しく、とにかく動揺してパニックに近い状態になります。表向きの平然を装うことに精一杯で「目の前の問題への話合い」まで頭が回らないんですね。
とにかくその場を丸く収めて、自分の身の回りの安全を確保できるまでなんとかやり過ごすといった感じです。反論することや、自分の主張や事情を伝えることにまで神経を使えないのです。
泣いてしまう
誰かに強い口調で言葉をかけられるとすぐに泣いてしまう、ということに悩んでいる人も多いです。私も、20代前半まではそうで、仕事場で泣いて相手を困らせたこともありますし、白い目で見られたこともあります。
これはおそらく感受性の強さです。私の幼い頃の友人にも、少し強く言われただけで泣いてしまう女の子がいます。その子は新婚さんなのですが、旦那さんに少しでも強く言われると、神経が高ぶって泣いてしまうんだそう。私にもその感覚はよくわかります。
これって感受性の強さなんじゃないかな、と私は思っています。弱いとか、怒られ慣れていないからではありません。私は、親にかなり強く叱られて育っていますが、友人は親に強く叱られたことがほとんどないそうです。
強く言われるのが苦手なのは、その人のもつ感受性からきているもので、がまんや忍耐、慣れとは全く関係がありません。
引っ込んでしまうことで、さらに悪循環になる
強く言われると頭が真っ白になってしまう人は、その様子をみた周囲の人からの評価が下がってしまうことがあります。
- 職場で泣くなんて子供みたい
- 指摘されただけで落ち込むなんて社会人としてどうなのか
- 「私がいじめているみたいじゃないか!」とさらに怒られる
実際感受性の強い人ってすごく多いので、実はみんな我慢しているか、隠れてなんとか神経の高ぶりを落ち着かせているとか、そんなこともあるはずです。
「仕事や作業をする→強く言われる→怖くて引っ込んでしまう→衝撃で行動が遅くなる→さっさと動け!」
こういう悪循環って、絶対あると思います。私は、強く言われたらそのあとしばらくは普段通りの体に戻りません.。強く言う方の人から見たら「こんだけ強めに言われたんだから、今まで以上にさっさと動くだろう」と思うんでしょうね。でも、実際は逆です。強く言われれば言われるほど、思考が混乱して作業の効率は下がります。
おそらく、似たような経験をしている方は多いはずです。でも、本当はあなたなりの主張や事情をもっているから「引っ込んでしまう自分をなんとかしたい」と思っているんですよね。
強く言われると引っ込んで、混乱してしまう私のはなし

私が強く言われると引っ込んでしまう性格を克服したのは、20代後半です。それまでは、人との関わりがうまくできずバイトや仕事も何度か変わりました。
子供の頃から、先生に厳しく注意されると、そのことをその日1日引きずるような子供でした。特に、周囲に人がいるところで注意されたり、嫌みや皮肉のような言葉にも敏感で、今でも「強く言われたこと」は鮮明に覚えています。
16歳の頃に始めたコンビニのアルバイト先では、性格や口調のキツイ女性がいて、その人が原因で私はバイトをやめました。いちいち口調が強く、感情を前面に出してくるので、私はその人と狭いコンビニの中で働くのは無理だったのです。
その次に働いたのは、ガソリンスタンドでした。ガソリンスタンドって、男性従業員が多いので女性のように感情まる出しで強く当たってきたりする人って、案外少ないんです。ちゃんとやるべき仕事をこなして、自分なりに工夫して仕事をしている女性はものすごく重宝されます。神経が高ぶったときはスタンド内のどこかにフラッとひとりで逃避したりもできて、すごくいいバイト先でした。
で、その次はカフェの仕事でした。カフェのお昼時は本当に混雑します。オーダーを受ける人とドリンクやフードを作る人が連携をとりながら店を回していくわけですが、どうもひとり強い口調でものを言うマネージャーがいまして……教わっていないことも「考えればわかるでしょ!?」「これはここじゃないって!!」と、キンキン言ってくるわけです。
そうすると、理不尽であることもわかりつつ圧倒されて、いっぱいいっぱいになって頭が働かなくなって……最終的にバケツの水をひっくり返して控室を水浸しにして、また怒られて……ということをよくやっていました。
私はたぶん、女性にきつく言われるのが人よりも苦手なんだと思います。強い口調で言われると、引っ込んでしまうだけでなく、思考が停止したり混乱したりしてしまうので余計に生産性が悪くなるんですね。結局その職場とも縁がなく、今はこうしてフリーのライターをして自分で仕事をしています。
感受性の強い人は、そうでない人からすると「弱すぎない?」「言いたいことがあるなら言わなきゃ!」とか言われがちなんですよね。でも、強い言葉で言われた後って、思考が止まったり混乱状態になってしまうので、自分でコントロールできないことの方が多いんです。
強い口調で言われるのが苦手な人に伝えたいこと

強い口調が苦手な人は、弱いとかダメな人とかではなく、感受性が強く優しい人です。だから、自分が強い口調で言われることだけでなく、他の誰かが強く言われている場面を見るのも、あまり好きではないはずです。
だから、あなたはきっと他の人に強く当たったりしないし、大事なことはちゃんと正しい理論で、落ち着いて教えたり、言ったりすることができるのでは。
感受性には個人差が大きい!
感受性という言葉をよく使いますが、これってどういう意味だかもう一度ちゃんと考えてみましょう。
感受性とは?:外界からの刺激を深く感じ取り、心に受けとめる能力。
weblio辞書
感じ取る力、心に受け止める能力とあります。
これって「強い方が能力が高い」っていうことになるんですよ。感受性が強い人は、誰かからの強い言葉や、強い感情に反応して、引っ込んでしまったり泣いてしまったりする。
それを外側から見て「大人のくせに弱すぎない?」「相手が強かろうが自分の意見くらいちゃんと言えないと」という風に批判する人の方が、強くて能力が高いように見えるんですよね。
でも本当は、刺激を強く受け止めて、感じる力のある人のほうが能力は高いわけです。
強く言う人が正しくて、引っ込んでしまう人が間違っているわけではない
強く言う人の言葉って、正しく聞こえますよね。そんなに強く言われるってことは、自分はダメなヤツなんだって思うこともあります。だからこそ引っ込んでしまうわけです。
でも、それは大誤解であることも多いので覚えておいてほしいです。
本当に賢い人は、強い口調やキツイ言葉を使わなくても、人に何かを伝えることができます。でも、それができなかったり、面倒だったり、自分を抑えられなかったりするために「強い口調」「キツイ言葉」を使ってしまうんです。
だから、強く言う人が正しくて優れているというのは、思い込みです。錯覚してしまっているだけなので、自分が悪いんだ、自分が弱くて情けないと、これ以上自信喪失しないでほしいのです。
強くなりたいなら、思考を磨いていくこと
でもやっぱり今のまま、すぐに負けて引っ込んでいるばかりでは社会生活が成り立たない。仕事でももう少し自分のレベルをアップさせたい。そんな気持ちがある人は、自分の感受性や相手の観察をしながら「自分の思考」を磨ていくしかありません。
なんとなく行動すること、なんとなく発言することをやめて、すべての言動に「理由」をもちましょう。
えー!そんなことできないって思うかもしれませんが、やり始めるとすごくおもしろくてハマるので、やってみてほしいです。
自分の行動や考え、言葉、いろいろなことに「なぜ、こうしてしまうんだろう?」「なぜこう言ったのだろう?」と、あんぜを繰り返していくのです。
すると、自分のことがすごくよくわかるので「次はこう動けばいい」「こういう場合は、〇〇と言い返せばいい」という選択肢がわかるようになります。
何を聞かれても、何を言われても、自信をもって「理由」を言えるようになる。これが、結局は「自信」に繋がり、自己肯定感にも繋がってきます。自分のことを何も知らない、何もわからない状態だと、人からの言葉に動揺するのは当たり前なんですね。
これがすごく大事です。あなたの中に確固たる考えがあれば、強い口調で言われても、普通のトーンで返せるようになります。
もちろん、年齢や経験を重ねるうちに、自然に強くなっていく部分が大きいので、若いうちはまだ焦らなくてもいいとさえ思います。でも、若いうちからちゃんと「なぜ?を考えるクセ」をつけることってすごく大事です。これをやっている人は、感受性の強さが今後加速装置になっていくので、人間的に伸びしろが大きくなります。
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強く言う人ってどんな気持ちなのかなぁ?引っ込んでしまう私にはわからない

おそらく、強く言われて引っ込んでしまう人は「強く言う人の気持ちがわからない」と思うことも多いのではないでしょうか。
私も、強く言う人の気持ちって、よくわかりません。だからその分、他人に対しては良心的にできるし「自分がこうされたら嫌だから」とか「自分がこう言ってもらうと嬉しいから」という基準で行動できます。すると、やっぱり優しくて良心的な人として慕われていく場面も増えていきます。
強く言われて引っ込んでしまう人、うろたえてしまう人は「感じ取る能力の高い人」です。弱くてだめな人ではありませんから、その分自分が周囲に「強さ」を振りまかないようにしていけば、いいのではないかなと思います。/Kandouya編集部
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