
過去の自分を思い出すと、恥ずかしくて記憶を消したくなることってありませんか?
私は、そのときの状況や心身の状態によっては「すべてなかったことにしたい」と思ってしまいます。ミスや失敗はもちろんのことですが、成果物や成し遂げたことなどもすべて「恥ずかしい」と思ってしまう……。
これって、なぜなのでしょうか? 自分に自信がなく、自尊心が低いからなのでしょうか?
この記事では「過去の自分が恥ずかしい」という気持ちについて、筆者なりのお話をしたいと思います。
過去の自分が恥ずかしい……そう思っている人は案外多い?

過去の自分が恥ずかしくて、思い出したくないと思っている人は、自分以外にも案外多くいます。ちょっとここで、過去の自分を思い出して恥ずかしくなっている人の体験談をまとめてみたいと思います。
若かった時のことを思い出して、謝りたくなる
10代~20代の頃の自分を思い出すと「ごめんなさい!私って本当にバカだ……もう最低!」と言いたくなります。若かったとはいえ、やはり今思い出すと常識なかったとか、知識や経験不足で失敗ばかりで、昔の自分は見たくないです。
しかも、昔のことだけではなく、ちょっと前の自分のことも恥ずかしくて愚かに思えることもあって、人生って一生こうなのかなって思うとしんどいです。(36歳・主婦)
学生時代のことは思い出したくない
学生時代のこと、10~20代前半のことは今思い出すと恥ずかしくて、情けなくて本当に嫌です。思い出すとたまに消えたくなることもあります。
その当時のことを、周囲の人が覚えているかもしれないとか、あの時周りはどう思っていたのかということまで気になってきて……でも、過去のこととはいえ起きてしまったこと、やってしまったことはなしにすることができないので、とても苦しくなります。(46歳・男性)
自分は特別な存在!と思い込んでいた頃
私も昔、若かったころのことを思い返すと「ギャー!ごめんなさいもう穴があったら入りたい!」と絶叫しそうになります。とくにお風呂に入っているときとか、トイレでじっとしているときなどに急に思い出してしまいます。
若い頃は「自分は正しい!」というような、どこから来るのかわからない自信のようなものをもっていて、ちょっと特別な存在と思いたい気持ちなどがあって、それゆえに失敗や非常識なこととかもやってしまったりしていたのだろうと思います。昔の自分に今会うことができるなら、思い切り説教してやりたい気持ちです。(32歳・女性)
過去の自分を恥ずかしいと思ったことのある人は、みんなすごく謙虚だった
実際に過去の自分が恥ずかしいと思うことのある人の意見を見てみると、みんなすごく謙虚だなという印象を受けました。なぜそういうことをしてしまったのか、なぜ今恥ずかしいと思うのかという細部にまで考えを巡らせている人が多く、実際の声を見ていくことで「別に、過去の自分を恥ずかしいと思う気持ちは、悪いことでも人生の失態でもなんでもないのではないか」という気持ちにさえさせられます。
過去の自分を恥ずかしいと思ってしまう理由は?

過去の自分を恥ずかしいと思ってしまうのは、いくつかの理由があります。その理由を知れば、過去を思い出して落ち込んだり、嫌な気持ちになることも少しはなくなるかもしれません。
過去の自分よりも、かなり成長している
過去の自分を思い出して「なんであんなことしたんだろう」「みっともない、恥ずかしい……」と思うのは、今のあなたからすると考えられないというまでの落差があるためです。
- 今だったらこうするのに
- それをするとどうなるかがわかる
- それをしたときの周囲の反応も予測できる
このように、過去の自分の行動によってもたらされる影響や、もっといい方法や振舞いがあるという選択肢をたくさん知っているわけですね。確実に成長を遂げていて、自分を客観視する力が養われている証拠でもあります。
過去の栄光に浸れない
「過去の栄光に浸る」のは、一般的にちょっと痛々しい印象をもたれることがあります。たとえば「俺は若い頃こんな悪いことをやったんだ」とか「私は若い頃こんなに男にモテてね~」なんていう話を、ひけらかす人ってときどきいますよね。
過去の自分を愛おしく思えることは、私たちのように恥を感じるよりも幸せですし、いいことかもしれません。でも、一般的な感覚では、そういう過去の栄光に浸ることのほうが「痛い」と感じられてしまう場合が多いのです。
武勇伝ばかり語る男性や、過去の男性遍歴を語る女性、昔やっていた仕事の功績を自慢する人……いろいろなタイプがいますが、どれも周囲にはあまり好まれません。
向上心がある
過去の自分に自信をもてないのは、常に向上心があり、今よりもっとよくなりたい、人間力を磨きたいと思っている証拠です。過去に満足してしまったら、人間の成長は止まります。
今よりちょっと前のことでも「あぁ、あのときこうしておけばよかった」「あの発言はちょっと良くなかったかな?」などと、自分をかえりみるくせというのは、けっして悪いことではないはずです。確かに、思い出して後悔したり、恥ずかしくなったりする頻度が多いと疲れるし、自分に自信をなくしやすかったりもします。
しかし、そのネガティブな感情は常に今や未来に活かされていくはずなので「過去の自分は恥ずかしい」と思うことは、けっして悪いことではないと私は考えています。
数ヶ月前の自分すら恥ずかしい、私の経験談

これを書いている筆者も、過去の自分が恥ずかしくてしかたありません。10~20代前半の頃はもちろんのことで、今から数ヶ月前の自分すら恥ずかしい、劣っていてみっともないと感じることがよくあります。
とくに私は、文章を書いて世に出している人間ですので、過去の出版物や過去に書いた記事なんかのことを頭に思い浮かべることがしょっちゅうあります。「あんなこと書いて……」とか「こんな内容では全然ダメ!」と、こき下ろしたくなることもあるんです。
ただ、そういう気持ちになったときって、自分の一部分だけを断片的に見ているように感じます。
とくに失敗やミスなどは、その一部分の記憶や衝撃が強かったことにより、自分のダメさや痛さにフォーカスしすぎてしまうんですよね。でも、実際はその前後にもちゃんと文脈があって、痛い自分につながった経緯というものがあるはずです。
「恥ずかしい、見たくもない!思い出したくない!」と思うと、余計にその断片的な記憶が浮き彫りになります。でも、あえて自分の過去の恥ずかしい一面を、じっくり見つめなおすと「そんなことをしてしまっても、仕方なかったな」とか「だって、あのときは○○だったから、そういう感じにもなるよなぁ」という風に、自分の中で理屈をつけられます。
もちろん、何度思い出しても嫌な感じはしますが、だからといってそれをなしにしなくてもいい。そして、たくさんの人がそんな気持ちを抱えているのだとしたら、自分がダメなわけでもなくて、いいわけでもない。「それが普通なんだ」と、少しだけ気を取り直すことができたりもします。
過去の自分が恥ずかしいのは、成長している証。

過去の自分が恥ずかしいのは、誰しも多少は抱えているものです。その度合いは高かったり、今と過去を比較するスパンが短かったりするのは、むしろいいことなのかもしれませんね。
失敗やミスだって、思い切って周囲に話すと「そんなこと、みんなあるよ~!」と笑ってくれるかもしれないし、自分の黒歴史なんかよりももっとひどく痛い過去をもっている人が、暴露してくれたり……なんてことも、人生にはときどきあります。
そういう人の話を、あなたならきっと懐深く受け入れられるでしょうし、共感したり、尊敬したりもできるはず。
今より前のことは、すべて過ぎたこととして、もっといい自分になっていきたいという気持ちが、ひといちばい強いだけなのかもしれませんね。
ただ、やっぱりときどき思い返すと、がっくりしたり、恥ずかしすぎて生きていてごめんなさい……みたいな気持ちになります。でも、その感覚を忘れないで生きることが、とても大事なんだと思います。人生って、厳しいものですね。/Kandouya編集部