「人に頼れない」
「助けを求めることができない」
「何でも自分で解決しようとしてしまう」
そんな悩みをもっている方は多いはず。
たくさんの人が誰かに頼ることが苦手で苦しんでいるその一方で
人に頼ることができないせいで、精神的にも身体的にもつぶれてしまったり、投げ出してしまったりするようなこともあり、結果的に人に迷惑をかける結果になる……なんてこともいわれます。
人に頼っていい。上手に助けを求めることができないと、自分も周囲も苦しんでしまう結果になる。
それが頭では理解できていても、なぜ毎回苦しくなるまでSOSを出すことができないのでしょうか?
なぜ私たちは、人に頼れないのか?

人に頼ることができない人や、自分で何でも背負い込みすぎてしまう人は、そもそも……
- 頼っていい場面
- 頼るべきこと
- 頼るべき相手
などを知らないのです。
頼るタイミングを知らない
誰かを頼ることができない人は、いつ、どんな場合に、どこまでのラインで人に頼っていいのかという「タイミング」を知りません。
本来ならば
「今ちょっと、しんどいかもしれない」
「これ、やりたくないな」
「あ~やっぱできないわ!」
というような軽い感じで、人を頼ってもいいんです。
もちろん、相手の状況や気持ち次第で「それは今は無理だよ、ごめんね」と断られることもあるんですが、基本的に誰かに何かを「依頼する」のは自由なんですよね。
しかし、どうしてもある一定のラインまでは自力で頑張って、手も足も出ないような状態になったときに「誰か助けて……」と這いつくばりながら誰かの助けを呼ぶ、みたいなイメージをしているのではないでしょうか。
自分が頼りたいタイミング、助けて欲しいタイミングではなく「限界値」や「他人からのジャッジ」によって、人を頼るタイミングを図ろうとしてしまうんです。
頼る方法がわからない
「人に頼る」「助けを求める」という言葉を聞いて、あなたはどんな様子を連想するでしょうか。
人に頼ることができない人は、このイメージや連想がうまくできないかもしれません。
「何を?どこから?どうやって説明し、何を求めればいいのか?」
これがパッと思いつかない人は多いはずなんですね。
これが、たとえば仕事上のやりとりや依頼のような形になると「〇〇さんに、明日の15時までに請求書の作成をお願いしてメールで送ってもらおう」というような段取り的思考ができたりすることもあります。
でも、明確な役割分担がなく、立ち位置の曖昧な関係だと、誰かに何かを頼んで自分の負担を減らすことができなくなるのです。
「本当なら、自分で全部やるべき」と思っているので、何をどう手伝って欲しいかという提案や交渉が難しいのです。
つまり「頼る」という概念すらない
私たちは、頼るのが苦手とか、頼れないとか、そういう問題ではなく「頼る」という発想や概念すらないのです。
「人はひとりで全部を背負うことなどできない」なんて、表向きには言っていても、心の深いところでは「何でも自分で解決し、全部背負いこむべき」と思っているんです。
だからこそ「誰に」「何を」「どんなふうに」して頼ればいいのか、助けを求めるときはどんな風に振舞ったり、声を上げたらいいかも知らないのです。
人に助けを求めていいということを知らないまま、一生懸命頑張って、人の分まで動いているのに、結局最後は「自己責任」と言われることもあります。
人を頼れない人は、仕事ができない、成功しないなどとされてしまうこともある。
そんなのってなんだか、悔しくありませんか?
ただ、知らないだけなのに。
「ひとりぼっち」という箱の中で生きている

ただ、人を頼ることを知らないままでいると、一生懸命頑張っても、どんなに働いても、がまんしても、現状がうまくいかなくなります。
頑張っても頑張っても、現状が変わらない。幸せな感じがしない。
すると、自分は周囲から孤立しているように感じたり、誰からも愛されていないように感じたり、なんでも自分に押し付けられているように感じることもあります。
どんどん内にこもり、周囲の人を敵視するようになることもあるでしょう。
でもそれは、あなたが孤独なわけでも、周囲が敵なわけでもなく、箱の中で生きているだけなのだと私は考えています。
誰も助けてくれる人のいない「箱」です。
箱の中は今まで生きてきた場所であり、自分はその箱の中の世界しか知らないんです。教えられてきたこと、読み取ってきた空気、言われてきた言葉……いろんなものが入っている箱です。
頼れない人の箱を、ノックしてくる人たち
しかしときどき、その箱をノックしてくる人がいると思うのです。
声をかけてくれる人や、気にかけてくれる人。
あなたのことを好きだと言ってくれる人。
数は少ないこともあるでしょうけれど、一切何もないということはきっとないはずです。
あなたは箱の外の世界を知らないので、きっと外からのノックの音や声を恐怖に感じることもあるはず。
どう答えていいかわからなくて「大丈夫です」「間に合っています」と訪問販売のセールスを断るようにして、追い払ってしまうことなんかもあるかもしれません。
本当は大丈夫じゃないし、誰かの手や愛が欲しくてたまらないのに「欲しいです」と言うことができない。
受けとることが怖かったり、受け取り方がわからないこともあるんですよね。
でも、箱の外って本当は、全然怖くないんですよ。
あなたも多分、薄々気づいているかもしれません。
楽しそうな声が聞こえたり、いい匂いがしたり、光が差したりしているのを、なんとなく感じて「箱の外に出られたらいいのにな」って、少し思うこともあったと思うんです。
箱の外はこわくないし、自分の足と手でよじ登って、外に出ることは十分に可能なのではないでしょうか。
人を頼れないのは経験が浅いだけ。少しずつ体験を積み重ねる
人を頼るのが苦手なのは「頼れない」のではなく、そのやり方を知らないだけです。
経験が少ないことに対しては、どんな人も臆病になるし、はじめからうまくできることなどひとつもありません。
プールの水に顔をつけるのが最初はとても怖かったのに、何度もトライしていくうちにバシャバシャと泳げるようになるのとまったく変わりません。
ちょっと頼んでみようかな?
ちょっと弱音吐いてみようかな。
ちょっと嫌だって、言ってみようかな。
そういう「ちょっと」を積み重ねていくと、次第に自分の心の声に従ってSOSを出したり、提案したり、交渉したりすることができるようになっていきます。
やがて、自然に、当たり前のようにそういう選択ができるようになっていくのです。
あなたは、今までやり方を知らなかっただけだし、人を頼る経験が浅いだけ。
経験が浅いなら、地道に経験値を増やしていくだけで、それなりに強くなるものです。
人を頼るのが苦手なあなたは、頑張り方を変えていこう

今までは、人に頼らず自分の力で乗り越えようと頑張ってきたと思います。
一生懸命、必死になることで、認めてもらえたり、そこにいさせてもらえたりしたかもしれませんね。
でも、これからは頑張り方を変えなくてはいけません。
今まで信じてきたことを壊す練習だったり、自分が頑張る量を減らしていくことに、意識を注いでいく必要があります。
知らなかった「箱の外」に出る練習を、少しずつしていけるといいのではないでしょうか。/夏野 新
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