陰口・噂話に、つい頷いてない?
「ここだけの話なんだけど…」から始まるのは、大抵人の噂話、陰口。
多くが、自分達には全く関係のない誰かのプライベートな弱みであったり、意外な一面だったりすることが大半だ。
こうした陰口、例え自分から発したわけではなくても、思わぬトラブルに巻き込まれることがある。
特に女性は噂好きな人が多いという印象だが、男性同士の間でも噂話で盛り上がる集団は少なくない。
陰口や噂話には、どんな風に対応するのがベストなのだろうか?
陰口・噂話の対象には2つのパターンがある
ここだけの話の対象となってしまう人には、大きく分けて2パターン。
明らかな根も葉もない噂も、事実も、どちらもあるだろう。
◇人から嫌われやすい人
当人にも問題があり、批判の対象となりやすい人は、どうしても陰口の対象になるものだ。
というのも、人は誰かを嫌いだと思ったり、敵視したりするとき「自分は間違っていない」と思いたいものだからだ。
しかし、「私は〇〇さんが嫌いなんだよ!あなたもそうでしょ?」
なんて、あからさまに言えるはずはない。だから、ついつい他の方法を使って「あの人のこと、あなたも嫌いだよね?」と確認し合いたいという気持ちが含まれているのだ。
「ここだけの話なんだけど、〇〇さんって不倫経験あるらしいよ」
この一言を投じれば、周囲は一気に〇〇さんを悪い人認定する。
ここだけの話を投じた人の、思うつぼだ。
◇人から羨ましがられている人
人から羨ましがられている人、妬まれやすい人というのも、陰口のターゲットにされやすい。
誰から見てもキラキラしていて、素敵な人。もしくは、ある特定の人のコンプレックスを刺激するような、華やかさや豊かさを持っている人など。
これは、陰口を言われる側には全く落ち度がない場合も多い。周囲からの嫌われ度も、決して高くない、むしろ低い。しかし、そんな素敵な人を純粋に「すごいな」と思えない人が、ここだけの話を振りまいてその格を下げようとするのだ。
「あの人、あんな素敵な感じにしているけど、昔ヤンチャしてたらしいよ。」
「あんなに美人だけど、実は整形らしいよ」
こういう根も葉もない陰口を周囲にバラまくことで、自分の嫉妬心を正当化したいという心の表れである。
仮に事実を言っていたとしても、相手の不利になるような情報を本人のいないところで広めるのは、悪意があると思ってよい。
人の陰口・噂話に同調したばっかりに…
他人の陰口や勝手な噂話なんて興味がないという人もたくさんいるだろう。
ただ、集団の中でそんな話題が盛り上がっていたら、うんうんと相槌を打つしかないという場面もある。
しかし、相槌を打つのも考えものである。
複数人を交えた会話で
「〇〇さんって、最近10個も年下の若い男と付き合ってるらしいよ。よくやるよね。」
なんてグチグチ言っている人がいたとする。
自分はその他大勢だからと安心して、雰囲気に「うんうん」と相槌を打ってしまったことがないだろうか。
恥ずかしながら、私にはある。
「何それ?どこ情報?ソースは?」
とビシッと言えたらどんなにかっこいいだろう。でも、同調してしまったことは幾度もある。
すると、いつのまにか「〇〇さんも言ってたよ」なんてことになっていたりするんだ。
本当のところ、私は頷いただけ。噂好きのあの人の気を静めるためだけに頷いただけ。
それでも、私も一緒になって頷いたことに変わりはない。
その場の雰囲気に負けて同調した自分にも責任があるのだろう。
噂話・陰口が始まったらさぁ、こうやってお逃げなさい
とにかく複数人なら、スキを見てその輪から離れよう。
- スマホをチェックしだす
- 靴下のズレを小一時間直す
- 靴の中に石が入ったふりをする
- コンタクトにゴミが入ったふりをする
- お腹が痛いふりをする
複数人の場合、方法はいくらでもある。とにかく、スッとタイミングよく、意識を他に持っていくといい。
子供がいる場面では、子供と遊びだしたり、しゃべったりして浄化しよう。
目にゴミが入ったとか、くしゃみが出そうとか、そういうくだらないハプニングを作り出すのは、案外簡単だ。1対1の場合でも使えるので、実践してみてほしい。
もちろん毎回は無理だろう。
まず「自分、この話題嫌だな」と早めに気付くことから始めよう。
そして気付いたら、スッと離れる。
このスキルは、練習すれば必ずうまくなる。
別に陰口の対象者を守るためではない、自分の感性と心を守るためだ。
こういうのは、慣れてしまうとどんどん感覚が鈍って、エスカレートする。人を陰で悪く言って笑うことに、慣れたくはない。
慣れてしまえばまだ、楽かもしれない。毎回「嫌だな」「どうやって答えたらいいの…」という不安に駆られる人だって多いはずだ。あなたの大切な時間が、誰かの汚い心から漏れてくるものに使われるのはもったいない。
陰口・噂話はかわせない・本音を言えない…それでは自分を守れない
うまくかわすのが苦手な人、自分の本当の気持ちを言えない人。そんな人の気持ち、私は痛いほど分かる。しかも、偉そうなことをいう私だって完璧じゃない。
本当に嫌な人のことは嫌だと思うし、人の悪口を言ったことも多々ある。でも思ってもいないことに同調することや、相手に合わせて自分を見失っていくのに慣れたくはない。
自分が相手に合わせればその場は丸く収まる。自分さえ我慢すれば平和だ。そうやってみんながみんな本心を隠していては、この世の中は破滅する。それに、こんな小さな心のモヤモヤは、蓄積し、いつか爆発する。必ず他の誰かに影響する。
だからフワッと軽やかに、笑いながら「私はそうは思わない」「私は興味ない」と表現できるようになりたいのだ。
「私は弱いからうまくかわせない、本音なんて言えない」この気持ちでいたら、自分を自分で守ることはできない。陰口や批判の対象者ではなく、自分自身のことすら守れていない状態なのだ。
上手くなくてもいい、自分の心に正直に。そして自然に呼吸するように、誰に見られてもいい振舞いをしていけるようになったら、それは心底カッコいい大人だと思う。
(ライター・夏野新)