自分にとって必要のない人間関係や、自分に害を与えてくるような人間関係は断捨離するしかない。
Kandouyaでも、自分のエネルギーを奪ってくる人や、どこまでいっても価値観が合わない人などとは無理して付き合うことはない。
そんなことをたくさんお伝えしてきています。
でも……「切ろうと頑張っても切れない関係」に悩んでいるということも、多いのではないでしょうか。
切りたかったら切ればいい。
でも、相手がそれを受け入れてくれなかったり、しつこく関係修復を求めてきたりすることもけっこうあります。
このような「切ろうとしても切れない関係」をどう対処すればいいか……?
ややこしく面倒な人間関係から逃げる方法を、一緒に考えてみましょう。
切ろうとしても切れない「腐れ縁」とは?
腐れ縁。
この言葉の意味は「切ろうとしても切れない関係」です。
腐った縁と書きますから、あなたにとっては本当に要らないものでしかありません。
恋愛関係かもしれないし、古くからの友人関係かもしれない。もしくは、家族かもしれない。
切ろうとしても切れない関係は、好ましくない関係のことをいいます。
どちらかが一方的に搾取されている関係
好ましくないということは、お互いが同じ方向を向いていないし、納得して付き合っていける関係ではありません。
大抵の場合、どちらかががまんしていたり、お世話をしてあげていたり、根気よく寄り添い続けていたりすることがあります。
世の中には「自分が他人に何をしてあげられるか」を考えるタイプの人と「自分が他人に何をしてもらえるか」を考えているタイプの2種類があると、私は思っています。
もちろん、人間関係は持ちつ持たれつのバランスをうまくとることが必要です。しかし、やはり根本的に「求めるばかり」の人もいるし「与えるばかり」の人もいる。それが皮肉なことに、うまくマッチングしてしまうことは珍しくありませんよね。
こうなると、どちらか一方ががまんし、懸命に相手をしたり、負担を抱えすぎていたりします。バランスのとれていない関係は、どんな関係性であっても好ましくない関係といってよいのではないでしょうか。
何度話しても、思いが通じない
搾取される側の人も、おそらく何度も話し合ったり、意見を言ったり「改善するための努力」をしていることも多いです。
相手のタイプを把握した上で、こちらの気持ちをよりわかりやすく、かみ砕いて、一生懸命話す。
しかし、相手はそれをほとんど聞いていない、もしくは自分の都合のいいように解釈してしまうので、話が通じず平行線のままになってしまうことがあります。
「ここまで言えばわかってくれるだろう」
「これだけ説明すればわかってくれるのでは」
そんな期待をぶちこわすかのごとく、またいつものような関係に戻ってしまう……この繰り返しにウンザリしている人も少なくないのではないでしょうか。
話が通じないことに、こちらもイライラしたり、怒りを感じたりして衝突することもあるでしょう。
腐れ縁を切れないのは、依存し合っている可能性がある
一方的に搾取されている……などといってしまうと、搾取する側の人への批判のように聞こえてしまうかもしれません。
確かに、人の視点に立てない人は他人を振り回してしまったり、人の話を聞いているようでまったく聞いていないということがあります。そのため、一緒にいる人や親しい間柄の人はとても苦労するのです。
ただ「切ろうとしても切れない」ということに長い間悩んでいるというのは、もしかすると「本気で切ろうとしていない」可能性があるということも、知っておいてほしいのです。
長い間同じことを繰り返す腐れ縁は「自分が何を言っても、相手が変わらない」ということをどこかでわかっているはずです。他人を変えることはできない、自分が変わるしかない、という言葉をよく見聞きすると思います。
でも、それって「相手は変わらないから自分ががまんして大人になるしかない」という意味ではありません。もちろん、自分の接し方や捉え方を変えることで、自然に相手も変わっていくということは確かにあります。
でも、そこまで真剣に向き合える関係というのは「切りたいのに切れない」という関係ではないはずです。
だからこそ「切りたいのに切れない腐れ縁」に、もう長いこと悩んでいる場合本気で切る勇気がない、切ることで自分は何かを失うのではないか……という怖さをもっていることになります。
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完全にふっきれないのは、どこかに居心地の良さを感じているから
切りたいのに切れない関係は、一見「自分ばかり嫌な思いをしている」という感覚があると思います。
ただ、結局切れないという事実からみると、そこには「関係を続けることで、そこに何かしらのメリットや価値を感じている」部分があるのです。これはあまりはっきりと意識することができないので、自分でも気づいていない場合が多いです。
その何かしらのメリットや価値とはなんでしょうか。
- 役に立っていない自分ではダメだという気持ち
- 苦しんでいる自分に価値があるという思い込み
- 自分がいないと相手は困るだろうという不安
- 自分が相手の責任を背負ってしまう
このような無意識の気持ちや、そこに価値を置いている部分が必ずあります。それは、「嫌な関係になってしまったのには、あなたにも責任がある」というような意味ではありません。
あなたの中に「誰かの尻ぬぐいをしなければならない」「誰かの役に立つ自分でなければならない」「いつも誰かのために生きなければいけない」という洗脳があるというだけなのです。
誰かのために頑張ったり、がまんしたりしていないと、自分はここにいてはいけないのではないか。「私はここにいていい」ということを感じるためには、誰かに尽くしたり、苦しい思いをしたりしていなければいけない。
そんな、普段は意識化していない漠然とした気持ちが眠っているのかもしれません。これを捨てるのは、とても怖いんですよね。でも、捨ててしまってもあなたは明日もきっと生きていますし、ここにいていいのです。
切ろうとしても切れない腐れ縁から逃げるたった一つの方法
何度話しても伝わらない。これだけ言えばわかるだろうと思っても、わかってもらえない。
そんな関係は、修復することはもう不可能と思っていいです。
また、きちんと自分の気持ちを理解してもらったうえで離れるということも難しいことが多いです。何しろ、相手には話が通じませんし、相手はあなたの視点に立って物事を考えていません。
納得の上で離れよう、話し合って離れようとするのは、鉄の鎖を文房具のはさみで切ろうとしているようなものなのかも。
そんな根深い腐れ縁から逃げるための方法は、ひとつしかありません。
「嘘」をつき続けること。
たとえば「あなたとは、気持ちがすれ違ってしまうし、向いている方向性が違うと思う。だから、もう連絡をとるのはやめたいんだ」なんて、優しくオブラートに包んだ伝え方をしても、おそらく相手は聞き入れません。
あの手この手で、自分の気持ちや都合を前面に押し出してくることが大半。そして優しい人が「そんなに言うなら放っておけない」とか「反省しているのかもな、少しはわかってくれたのかも」なんていう淡い期待を抱いて、関係が戻ってしまうんです。
こんなことを繰り返していると「あなたのことはもう嫌いなんだ!顔も見たくない!大嫌い!消えろ!」とまで言わないと、相手はあなたの本当の気持ちを理解できないのだと思います。
ただ、これでは誹謗中傷のようになってしまいます。場合によっては、暴言や罵倒になってしまうし、当然修羅場と化します。
そんなことを言葉や文字にするエネルギーなど使いたくないし、何より相手が逆上したり、深く傷ついてよからぬ行動に出るという危険性も含んでいます。だから、それができない、関係を切れないわけですよね。
だからこそ、嘘をつくのです。
嘘も方便。必要な嘘に罪悪感など不要
古くから「嘘も方便」ということわざがあります。
嘘も方便とは、ものごとをスムーズに進めるために必要な嘘があるという意味です。
しかし、多くの人は嘘をつくことに対してとても大きな罪悪感を抱いたり、バレたときのことを不安視して、正直になりすぎてしまうところがあります。
幼い頃から「嘘はいけません!」「嘘をついたな!?」と叱られてきた人が大半です。嘘つきは泥棒のはじまりなんて言葉もありますよね。
平気で嘘をつくようになると、盗みだって平気でするようになる……という意味らしいのですが、嘘と盗みはまったく関係ないですし、私たち人間は平気で嘘をついているわけではありません。
しかし必要な嘘に対しては、罪悪感をもつ必要はありません。一時は感じるかもしれませんが、そんなバカ正直に生きて苦しむくらいなら、自分を解放するために上手に嘘をついたっていいのではないですか。
嘘をつくことは、ときに形としてはわかりにくい「優しさ」であることだってあります。「あなたのこと嫌い。顔も見たくないし、あなたのことを考えるだけで蕁麻疹が出るのよ」と言われるよりも「遠くに引っ越すことになりました」とか「忙しくてしばらく時間がとれそうにありません」というとってつけた嘘の方が、すべてをフェードアウトさせていく良い方法になることもあります。
「そんなの嘘でしょう」と言われても、「絶対に嘘だ」と思われても、嘘をつらぬき続けるしかないのです。一生懸命話して、努力して改善しなかった関係が、更なる話し合いで解決しないことはもう、あなたもわかっているのではないですか。
腐れ縁には「向き合い続けたい関係なのか?」を考える
まずは、相手に対して「向き合いたいか」を考えてみる必要があります。そして「なぜ自分は、これまで切りたいのに切れなかったのか」を考えなければなりません。
そこにどんな気持ちがあったのか、自分がいつもがまんしたり、搾取される側になってしまうのはどうしてなのか。これは今後の人間関係や恋愛関係にも大きく関係してくるので、一度は深堀してみるべき部分だと考えています。
向き合う価値がないと感じたり、もう限界だと感じたら、嘘をついてでも逃げるべきです。そして、嘘は嘘だと認めない限り、ずっと真実であるということもまた、覚えておいてほしいです。好ましくない人間関係からは、勇気をもって脱却してみてください。/夏野新