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【episode9】まだ愛を知らないあなたは、篭田雪江さんの物語を一度は読んでおいたほうがいいよ。

篭田雪江さん/小説家・作家

「そこに、温度がある人たち。」第九回は、小説家・篭田雪江さんをご紹介したい。

先に言っておきたいことがある。私は篭田さんのことを自分のメディアで書かせてもらうにあたって、きれいごとや体裁など一切無視して届けたい。そうでなければ、私は人間として自分が恥ずかしいから。

短編小説:「ゆなさん」https://note.com/kagoyuki12075/n/n881856abfb9c

「ゆなさん! もっと走ります!」
 喉の奥から叫んだ。
「この子、もっと走りたいって。もっと走れるって。意地っ張りですね。誰に似たんですかね。でもいいっすよ。おれ、いつまでも付き合いますから!」
 呼吸をととのえ、リムを握り直すと、再びヘンナノー号を走らせた。ゆなさんといっしょに、走らせた。

https://note.com/kagoyuki12075/n/n881856abfb9c「ゆなさん」より

篭田さんの描く世界に、説明書はいらない。読めば浮かぶ情景、心情、季節、肌感覚。私の目の前には、物語に登場する2人の会話のちょっとした間や、少し目が泳いだその瞬間まで、鮮明に映像として浮かび上がってきた。

「うまい」とかなんとかって、私は言える立場でも何でもない。ただ、一、読者として感じたことだ。

読んでいてじわじわと鼻が痛くなって目頭が熱くなるのも、「障がい者」といういわゆるマイノリティのくくりだからとか、障がいのある人を愛する人の物語だからその博愛精神が泣けるとか、そんな薄っぺらく美化した感情ではない。

この意味、わかるかな。

それこそ、そういう風に「障がい」をお涙ちょうだい的なものとして描くものこそ、見下してんじゃないのかって私はいつも思ってるんだ。言い方悪いかもしれない。でも嘘はつけない。別に特別なものでも変わったものでもなく、そこにいる一人の人が輝いているから、粛々と生きるその中に大切なものを見つけられる人だから、泣けるのは、ただそれだけの理由だからってことなの。

この意味、わかりますか。わかんない人は逆に篭田さんの話読まないで。意味ないから。

愛って何か知らない人は、読んでおいた方がいいよ

「やばいかもなあ、を、ごみ箱に捨てる。」https://note.com/kagoyuki12075/n/n46d04b3905d0

今から彼女の親友ふたりに、おれが死んだあとはどうかよろしく、なんなら一緒に住んでほしい、と頼まねばならないかもしれない。ふたりとも独身だから、このままひとりを続けてくれ、と、わがままを承知で土下座しておかねばならない。

それを考えると、私のやばいかもなあ、など、ごみみたいなものだ。さっさと燃えるごみの日に出さねばならない。少しでも長く生きてパートナーを見送り、私がひとりになる覚悟を今からからだの芯にたたきこまねばならないのだ。私がひとりテレビに話しかける日々を耐えるために…。

https://note.com/kagoyuki12075/n/n46d04b3905d0「やばいかもなあ、を、ごみ箱に捨てる。」

「愛する人に先立たれるのは辛いから、自分が先に死にたい。」そういう人はたくさんいるだろう。

「愛する人のために、自分は長生きするよ。」これもかっこつけて言っちゃうでしょう。

どっちも自分の見栄や欲求しかないエゴだろ。いちいち言うなよ。と私は思っちゃう人間なんですね。(ごめんなさい)

篭田さんのnoteに書かれた「やばいかもなあ、を、ごみ箱に捨てる。」という思いにこそ、私は愛を見てしまったなあ。「愛があるなあ」って、心底思ったんだよ。

生きること、普通というものを考えよ、人間ならば

「からだの半分が死んでいるということ」ttps://note.com/kagoyuki12075/n/nf5ac63568eb3

「普通の障がい者を描きたくて」tps://note.com/kagoyuki12075/n/n4606b166cc29

障がい者に「普通」といい枕詞はあまりつけないだろう。私も書いていて違和感はぬぐえない。だって障がい者は歩けない。話せない。聴こえない。見えない。ない、ない、ない…。いくらでも出てくる「ない」の持ち主が「普通」とは言わないだろう、普通。

だが、そうなのだ。先に書いたようなメディアに取り上げられたり、世界で活躍するパラアスリートだったり、SNSで発信したりするようなひとたちは、私たちからみたら全然「普通」ではない。どうしてこんなことができるのだろう、という特別な対象なのだ。障がい者のなかの、選ばれし者たち、といったところだろうか。

https://note.com/kagoyuki12075/n/n4606b166cc29「普通の障がい者」を描きたくて

最後に:私なんて、まだまだ未熟です。だからこそ、篭田さんの描く世界に触れてはじめて、あたらしい「普通」という概念の見方を教えていただきました。今回連載小説などすべて読みたかったのですが、「記事をかくため」に読むのではなく、自分という人間が吸収したい学びとして読みたいと思ったので、またゆっくりと読ませてください。

そしてその際には、ぜひまた感想を送らせてください。

篭田雪江さんのnoteはこちらhttps://note.com/kagoyuki12075

篭田雪江profile:車いす乗り。美しさと醜さが背中合わせの「ひとつの障がい者像」を書き続けています。得意技は死ぬ死ぬ詐欺です。詐欺で終わればいいですが。 #withnews にコラム掲載中。https://withnews.jp/articles/result?src=%E7%AF%AD%E7%94%B0… ご連絡はDMまで。

kandouya編集部/森花

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