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【episode6】”静かに心をざわめかせる”……湖嶋いてらが持つ温度とは。

湖嶋いてらさん

「そこに、温度がある人たち。」2月の第六回は、湖嶋いてらさんとnoteをご紹介していく。

はじめに、「湖嶋いてらさん」に関しては、すっごく期待していた。実は私はなにげにその存在感がずっときになっていて、そこ温に手を挙げてくれたときはすごく嬉しかったのだ。

まず「湖嶋いてら」というその名の雰囲気も、このアイコン画像も、独自の空気感と色をまとっている。ただそこにいるだけで、「この人は何かを秘めているぞ」と感じさせる何かを持っているひとだと、私のアンテナは感じていた。

そのうえでnoteを読ませてもらって、「なるほどな」と納得をしている私がいる。

冷え切った故郷」 https://note.com/itera/n/n33dcdf7a6d2d

人間とは不安定でうつろいやすく、恐ろしいほど幼稚な生き物なのかも知れない。決意や意志にも似た約束は、実は弱々しい糸のように頼りないのかも知れない。そんなことに気付かされたりする。特に、孤立してもそこに無言で立ち続ける不動の何かを見たときには。

やっぱりなあ、と思った。というのは、湖嶋さんの文章の世界観がもう出来上がっているなという印象を強く受けた。「まだ揺れ動いている」という場所にいる人には見えない。

どちらかというと、「不安定さを眺めている」という場所にいる気がする。

「冷え切った故郷」で描かれることは、人間の核心部分と向き合うまでに要する時間、人間とは遠回りをしたり、無意識に道草をくったとしても、心のどこかで「ふるさとを探しているもの」なのだと教えてくれる。

一度うしなったものを再建するという強固な意志で、建てられた家。

その家が、冷え切ってたったひとり佇んでいるという事実。その姿が、人間の危うさを思わせた。「プライド」の脆さを思わせた。

そしてそれを感じ取っていた湖嶋さんの感受性は、これまでの経験から作られたものだろうか。もちろんそうだろうけど、それだけじゃない「鋭い嗅覚」を感じるよ。

ひとつの物語を通して、「強さと弱さ」「暖と寒」「信と疑」を一度に見せられた気持ちだ。

冷たさという事実の中に、温度を残す「湖嶋いてら」

「思い出、道路に転がして」https://note.com/itera/n/n9814199b11c9

クラスに転校生がやって来た。
先生がにこやかに彼の紹介をし、「じゃあ一言、あいさつを」と振ると、彼は挨拶をする代わりに私達をギリッと睨んだ。
強い黒目が白目の光を引き立たせ、短く濃いまつ毛の線が、眼球を際立たせていた。

──蛇。

人の目が蛇のそれに見えることがあるのだと、その時、初めて知った。

「思い出、道路に転がして」https://note.com/itera/n/n9814199b11c9

「思い出、道路に転がして」が本当に大好き。続けて3回読んだ。1回目は「そうか…」と沈黙し、2回目はひどく寂しい気持ちと確信めいたものを感じ、3回目に”どうしようもないあたたかさ”を、なぜか感じた。

あなたはどんな思い出を道路に転がしてますか。

私は、そのへんの雑草を掴んでそれで絵が描けないかと、わかっていても試すような子どもだったことを思い出した。幼少期に道路に転がしている思い出と、それを共有した人の存在って、大人は知らないんだよ。

大人からすれば見ていてもありがちなひとつの様子に過ぎなかったり、忙しくて見ているようで見ていなかったりして、子ども同士の「こころのやりとり」がそのわずかな時間に確かにあったことには気づかない。

湖嶋さんが交わした「こころのやりとり」が、確かにここには刻まれてあった。

「視点」の違いで、見る世界は、きっと大きく変わるものなのだ。いつだって。

ねえ。

私もおんなじの転がしとくから。
そんなもんくだらないって思うかもしれないけどね、
人生は、そんなんでもある方がまだいいみたいだよ。

ねえ。

「思い出、道路に転がして」https://note.com/itera/n/n9814199b11c9

湖嶋いてらの持つ温度とは、ろうそくの火である。

もう術もないと落胆した暗闇や真夜中に1本だけ灯されたろうそくのようだ。そんな、1本で強く放つ火のような力を感じるものかきであると、私はここに残しておきたいと思う。

そして静かに心をざわめかせる力のある彼女に、これからも注目したい。

湖嶋いてらさんnoteはこちら→https://note.com/itera

湖嶋いてらprofile:こじまいてら/3人息子に絡まれながらnoteを書くワーママ/国際結婚/クリスマス金曜トワイライト総合大賞/全てのリアクションに感謝しています。

kandouya編集部/森花

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