
「そこに、温度がある人たち。」2月の第十回は、チカゼさんとnoteをご紹介したい。
チカゼさんが好きすぎるあまり、もったいぶって逆に時間がかかってしまった。見つけてしまったのよ、心を大きく揺さぶる物書きに。チカゼさんのnoteを読んで、「見つけちゃったわ」と思ったの。
「生きた文章」を本当に書く人だよね。私の心臓あたりに入り込んできた気がした。ほんと、いい。マジでいい。チカゼさん!!!!!
化粧をして男物の服を着るわたしは、永遠に「少年」ではいられないhttps://note.com/chikaze/n/n881268154674
「男性」になりたいわけではない。わたしは「少年」になりたいのだ。ペニスが欲しいんじゃない。でも乳房の膨らみは重くて辛い。中途半端で曖昧な身体を望み、どちらにもカテゴライズされたくない。いつだって、男にも女にもなりたくない。中性にも両性にもなりたくない。「少年」として男性と寝て、女性と寝たい。
化粧をして男物の服を着るわたしは、永遠に「少年」ではいられないhttps://note.com/chikaze/n/n881268154674
チカゼさんのnoteには、性自認についてのことや「少年でありたい」という正直な思いがバン!と書かれているわけだけど、こういう人がいるからこそ「堂々と言っていいんだ」と思える人が増えてくんじゃないかなと。
性のグラデーションについては徐々に理解が広がっているような側面はあるけど、それでも十代の人なんかが多感な時期にジェンダーについて思い悩んだとき、周りにすんなり打ち明けられるくらいに理解があるとは思えない。
だからこそ、こうしてオープンにありのままをさらけ出してくれるチカゼさんのような存在が、背中を押してくれたり新しい「自分なりの当然」というものを見つける手伝いをしてくれると思う。
でもジェンダーの話だからいいわけではなく、チカゼさんの何がいいかというと、「思い」が本当に伝わってくるの。「自分をねじ伏せてまで、嘘をついてまでいい人間でいることに意味はないぜ」というような、振り切った思いみたいなもの。
”破壊力”という言葉が合っているなと感じた。チカゼさんの文章は、きっと取り繕って生きてる人は読めないね。まっすぐなものとちゃんと向き合える人じゃないと、「うっ」って思わず逃げてしまうかもしれないなあ。
それほどに、チカゼさんの言葉は強い力を持っていると思う。

「わたしを育てて欲しい」と夫に頼んだ話https://note.com/chikaze/n/n5cafa0648b37?magazine_key=m9f067ae58b15
わたしは3歳の子どもなのだ、と夫によく言う。
物心つく前から幼児教室に通わされ、わがままを言えば殴られ蹴られ、泣けばうるさいと暴力がヒートアップする父親のせいで、わたしが今こうあるのなら、わたしを育て直して欲しい。
嫌なことがあると、夫に甘えて火がついたように喚き散らして暴れることしかできない精神年齢の低すぎるわたしから、時に感情的になることがあったとしても健全な人間関係を築ける、夫の対等なパートナーとしてふさわしい、まともな人間に育てて欲しい。
同棲を始めたころ、わたしは夫にそう頼んだ。
「わたしを育てて欲しい」と夫に頼んだ話https://note.com/chikaze/n/n5cafa0648b37?magazine_key=m9f067ae58b15
”「わたしを育てて欲しい」と夫に頼んだ話”を読んで、深夜にボロボロと泣いてしまった。おかげさまで鼻詰まりが最高潮。死ぬかと思いました。いやただの花粉症。
何に泣けたかというと、「いい夫婦だなー」と思ったからじゃないのね。
「わたしを育てて欲しい」って、あなたは誰かに正直に言えますか?ましてや一番近い存在ともいえるパートナーに、それを言う勇気持てますか?
1人の人として、チカゼさんって本当にすごいなって思った。「わたしを育てて欲しい」と言葉にするためには、自分のダメな部分成熟していない部分、痛み苦しみ、課題、全部を知らないと言えないでしょう。
自身の生い立ちや、自分のつくられ方をちゃんと考え理解を深めようと学んで、心の納得する場所を探し続けてきた人のように思う。それがどれだけむずかしく、痛みを伴うことか。
チカゼさんってマジでかっこいいなって、チカゼさんの「人としての在り方」の部分に思ったのだ。

「お父さんは本当はあなたのことが大好きなのよ、という呪い」https://note.com/chikaze/n/nb0e6ad5180b8
自分がいい人になるために、傷ついた人を慰めるのはやめてくれ。気持ちよくなりたいために、優しい言葉を使わないでくれ。それがだれのための言葉なのか、こちらはきちんと見抜いている。
お父さんは本当はあなたのことが大好きなのよ、という呪いhttps://note.com/chikaze/n/nb0e6ad5180b8
”ハンパモノ”は近づけない人、それがチカゼ。これがあなたのキャッチコピーだ。(勝手に
チカゼの持つ温度とは、裸の心の温度である。そこに触れるためには、こっちも裸で向き合わないといけないし、その覚悟を持った人でなければヤケドしちゃうのでは?
数字で言うなら、50℃くらいでしょ。
私はチカゼさんの世界を「心地よい」と感じる人間なので、そこ温では良いところを褒め倒して気絶させてやろうかと思ったけど、あんまり言いすぎても薄っぺらくなりそうだからここらへんにしとくかな。
チカゼさんは絶対に残る人だよ。ライターとしても、やがて化ける人だと思ってる。誰目線か謎ですが言わせて。それくらい言葉に力を宿しているから。存在に自分だけのオーラがあるから。
それでもただ、あなたが「こうでありたい」と思う世界の中で、あなたとしていられますように。
こちらもおススメ→セックスとジェンダーの海に浮かぶ孤独なラッコとしてのわたし
チカゼさんのnoteはこちら→https://note.com/chikaze
チカゼprofile:’92|フリーライター・エッセイスト|修士(学術)、社会心理学、ジェンダー論|日韓露ミックス・ノンバイナリー・虐待サバイバー|永遠の憧れはジルベール|古着と珈琲とヘッセがすき|生きていたいから、文章を書く。 お仕事依頼→Chikaze46@gmail.com
kandouya編集部/森花