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【episode3】やわらかさの裏側。編集者「タクさん」

タクさん/編集者

「そこに温度がある人たち。」Part3の第3回目は、タクさんとnoteを紹介する。

妻と猫、そして自分を愛する29歳の編集者だ。

僕が初めてアイライナーを買った話。

タクさんの瞬発力と知的探求心がまとまった、こちらのnote。

「仕事帰りに、アイライナー買ってきて~」

水曜日の夕方、自宅にいる妻からLINEが届いた。職場にいた僕は凍りついた。

え、どういうこと?

僕が初めてアイライナーを買った話。|タク note

妻に、メイク道具の「アイライナー」を買ってきてほしいという、ピンポイントな注文をもらったタクさん。

妻の知識に頼ることなく、彼が自ら未知の世界に足を踏み入れ、新たな発見と体験を手に入れていく話だ。

アイライナーを買ってきてほしいという要望に対し、普通、一般的に、ごくありふれたやり取りとして

「アイライナーって何?」「どこに売ってんの?」「どの種類か具体的に教えてよ」という質問が投げかけられるだろう。

実際には、タクさんの妻はメールにアイライナーの画像を添付し忘れただけで、彼に無理難題を丸投げしたわけではなかった。

突然やってきた「ナニコレ」に対して、「何をどこからどう考えるべきか」を瞬時に整理し、twitterという情報ツールを巧みに使いこなす。

彼は、次々にわいてくる不安と疑問を妻に投げ返すことなく、アイライナーを探す旅に出るわけだ。

結果、化粧品とはどういうものなのかを理解することになる。今まで知るはずもなかった世界を垣間見るだけでなく、体感するところまでいく。

一つの小さな疑問への、瞬発力。

瞬発力というのは、私自身大事にしたいもので、鍛えられるものだとも思っている。すぐに調べる、集中する。すると自然に、興味関心がついてくる。

即行動、鍛える、とか言ってしまうと「成功マインド」っぽい話に聞こえるかもしれないが、そうじゃない。

瞬発力は、よりナチュラルに「今ここ」で生きていなければ発揮できないものなのだ。

この後もやることがいっぱいで時間がないとか、化粧品なんてこれまで買ったことも選んだこともないとか、そういう後先のことに意識が向いていれば絶対にできないこと。

妻を喜ばせたいとか、怒らせたくないとか、そういう動機もなくて、単純に「今ここ」の瞬発力がなければ生まれないnote。

何の変哲もないところから、この出来事のどこを、どう見せて、どんな切り口で届けると届くのか……を、常に考えている。作品をプロデュースする仕事には欠かせない。

I LOVE YOU

ときどき、誰かのnoteを読んでいると「絵本」として完成されたイメージが浮かぶことがある。この作品も、私の頭の中では挿絵が添えられ、絵本になっていた。

「かえるね」
「うん」

「おりたよ」
「うん」

「おかし」
「たべる」

「ビール」
「いらない」

「しょうゆ」
「りょうかい」

「ただいま」
「おかえり」

I LOVE YOU|タク note

ごちゃごちゃと感想をいいたくないのだけど、こんな風にひとつひとつの言葉を見ていたいなと思った。

当たり前のように口からでる言葉、今まで生きてきて何百万回と口にしてきた言葉も、毎日ちょっとずつ意味が違うのかもしれない。

8時45分

妻に「8時45分になったら起こして」と依頼されたものの、任務遂行よりもタクさんの気の良さが勝ったこちらのnote。

完全に目を覚ました状態でいたいなら、40分には声をかけなければならない。ストイックな妻のことだ、45分と言いながらも数分前に起こしてもらうことを期待している可能性がある。

いや、待てよ、考えすぎか。8時45分ちょうどに、何がなんでも起こすのが最適か。僕のスマホでアラームをセットし、アラームがなったら僕がアラームになって喚き散らすのが最善か。

8時45分|タク note

人を起こすのって、本当に神経を使うものだ。

アラームは、誰に対しても、どんな状況でも、いつも通りの電子音を鳴らす。

でも、人間同士ではそうもいかない。寝ている相手の最近の生活リズムとか、眠りの深さとか、声をかけたときの反応の仕方とか……。

時間通り起きられればそれでいいわけじゃなくて「なるべく心地よく起きてほしい」が勝つことがある。むしろそれを重視したいことの方が多い。

実は私も、似たような状況を何度も体験している。非常に親近感が沸いたので、このnoteを選んだ。たったひとつのことについて複数の可能性と効率化をぐるぐる考えるクセがあるので、読みながらフッフと笑ってしまった。

なんてことのないエピソード、決して話題を呼ぶストーリーでもない。ただ、逃げるは恥だが役に立ち、朝の8時45分を回って締めくるnoteは、スマートでかっこよかった。

日々大切にしたいことも、心がわくわくするような冒険も、小さな日常の中にしかない。必要なものは、今ここにしかない。

そんな風に思わせてくれる文章ばかりだった。自分にとって大切なことは、たくさんあるし選べない、というnoteもあるが、やっぱり彼は今目の前にあることをうまく拾い上げ、受け取るのが上手だった。

知的好奇心と瞬発力には男性的な本能を感じるが、人に求めない姿勢や擁護的なやわらかい部分もある。「彼女のしたいことが、僕のしたいこと」であると書き記してあるのが印象的だった。

そのすべてが実は「相手を守りたい」という意識からきているのではないか……なんてことも考えてしまった。タクさんのやわらかさの裏側には、強い気概がある。土台が強くなければ、やわらかいもの支え、姿勢を保つことはできないのだ。

彼のフィルターを通過しながら、たくさんの本や文章作品が生まれていくのだろう。タクさんのお仕事にも思いを馳せることができ、愛や笑いはしっかり届いていると感じた。

タクさんのnoteはこちら

タクさんprofile:|29歳 |編集者 |愛妻家 |愛猫家 |エッセイを書いています |「愛」や「笑い」をテーマにしています |だいたい1、2分であっさり読めます |ポテトチップスヘビーユーザー |◎ぜひフォローもお願いします^ ^

Kandouya編集部/夏野 新

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