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欅坂46は病んでる…それって大誤解!暗い中の一筋の光を探せ

欅坂46は、2015年に結成された、秋元康プロデュースの「坂道シリーズ」アイドル一派です。

欅坂46の楽曲は「暗い」「病んでる」「おかしい」などの批評が飛ぶこともありますが、ここ数年のうちにじわじわとその人気を高めているのも事実。

2019年は「黒い羊」の楽曲が第61回日本レコード大賞の最優秀作品賞に輝きました

アイドルとは、一般的に「キラキラと眩しい世界観」や「ひたむきに一生懸命である姿」を前提とすることが圧倒的に多いですよね。しかし、欅坂46のコンセプトは「笑わないアイドル」です。

歌詞やダンス、曲調のテイストから万人受けするような量産アイドルではないことは明らかです。しかし、その分根強いファンが多いというのもまた事実。

アイドルに興味のなかった人や、まったくジャンルの異なる場所で活躍する文化人や政治家などまでもが「このグループは何かが違うぞ?」ということに気づき始めており、筆者もまたそのうちのひとりです。

それと同時に「欅坂46が最近、変わってきた」と思いつつも、この独特の複雑な表現に、無性に惹かれたり、怖いもの見たさのような気持ちから、引き込まれているファンも多いのではないかと感じます。これは、未知なる世界、新しい感性を磨くチャンスです。

男女の性別を問わず、人気があるその理由を「ネガティブ」をお届けするメディアを代表して熱弁します。

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欅坂46は、高校で言えば「普通科の女子」

プロデューサーの秋元康さんによれば、欅坂46は高校で言えば普通科の女子であると話しています。

AKB48は芸能コースのような華やかな存在であり、乃木坂46は専門性を学ぶ子たち。欅坂の場合は「普通科の女子」のイメージだそう。

ただ、ここで私個人が感じていることは「普通の人が抱える葛藤」こそ、じわじわくる強いメッセージ性があるということです。

万人受けしない感性から得られるものは、とても複雑で難しいぶん価値が高いとも思います。

何のとりえもないとか、暗い過去がある……といったようなハンディや足枷でしかない部分を敢えて前面に出して「同じような立場にいる若者に寄り添う」ことのできるアイドルは、今のポップシーンアイドルでは唯一無二の存在なのではないでしょうか。

欅坂46の暗い歌詞は、徹底した「寄り添い」と「共感」

欅坂の歌詞は暗い、病んでる、といわれ賛否両論となっています。しかし、それはターゲットを「イライラや葛藤」の中で生きている、10代の若者をターゲットにしているからです。

欅坂の歌詞に共感したり、惹きつけられたりするのは「痛みや苦しみ、葛藤」といった若者のいらだちや苦悩を知っている、もしくは経験がある、想像できる人なのではないでしょうか。

たとえば「月曜日の朝、スカートを切られた」という楽曲がありますが、あの曲中の彼女たちの表情やダンス、歌詞を見て「宗教じみている」「怖い」などといって嫌煙してしまう人は、おそらく「つらい気持ちとの葛藤をした経験」があまりないのではないかとも思います。

しかし現代では、いじめやパワハラ、虐待、DVなどの「誰かが誰かを傷つける」ということから起こる問題が取りざたされています。普通の場所で、普通の人たちがそうした経験を、少なからずもっているのがこの世の中なんです。

日常のいたるところに、誰かや何かに傷付けられる側を経験した、暗い過去を持つ人がたくさんいるわけです。

そんな人の気持ちに寄り添い、代弁し、少しでも見方がいるような気持になれる人がいることは生きる希望になります。しかもそれが、世間が大注目する存在である「アイドル」ときたものだから、これは言及せざるを得ないグループであると私は感じています

それに、どんな時代にも、暗さやネガティブを歌うアーティストは存在していました。日本で言えば、山口百恵や尾崎豊、中島みゆき、椎名林檎、鬼塚ちひろといった昔大流行した歌手にも、暗い曲や重い曲を歌う人は常にいましたよね。

さらに、映画や小説、絵画、ファッションというさまざまなカルチャーにも必ず、明るい作品とダークな作品の2つが存在するのは当たり前なのです。

今までの「王道のポジティブアイドル」ではなく、その真逆を行く「笑わないアイドル」はいわば確信のポジションです。

「欅坂46の歌詞は病んでる」と思うのは社会への怒りを感じていない証拠

欅坂の歌詞が、病んでいて暗いテイストになっていることが話題になっていますが、それを「怖い」と思って離れていくファンの人は、おそらくつらい経験をした人の気持ちがわからないということなんですね。もしくは、アイドルにそういうものを求めていない人でしょうか。

気持ち悪くて、宗教じみているのではなく、新しい芸術性をもったアイドルというだけです。欅坂に対して「何を表現したいんだろう?」「なぜ、このような表現方法をしているのだろう?」という視点をもてる人は、すばらしい感性をもっていると思います

静かな大衆という意味である「サイレントマジョリティ―」という楽曲の歌詞をみてみましょう。

先行く人が振り返り

列を乱すなと

ルールを説くけど

その目は死んでいる

サイレントマジョリティー/欅坂46

現代の社会で大人から納得のできない指図をされることや、理不尽な要求を強いられていることに「怒り」をもっていますよね。こういう「大人への違和感」や「理不尽への気づき」を早い段階で持てる若者は強いです。

そして、病んでいて暗いだけで終わっていないのが、アイドルという人に希望を与えるべき人の力でもありますね。

君は君らしく生きていく自由があるんだ

大人たちに支配されるな

初めから そうあきらめてしまったら

僕らは何のために生まれたのか?

夢を見ることはときに孤独にもなるよ

この世界は群れていても始まらない

サイレントマジョリティー/欅坂46

2020年、時代は大きく変化します。いいようにも、悪いようにも。

この時代を担っていくのが、アイドルを支持する圧倒的量を占める若者なんです。本当に力のある大人や、誰かを守れる大人になっていく若者を育てなくてはなりません。何のために生きているのか、なんて考えない人が世の中のほとんどである中、わかりやすい「アイドルソング」という形で疑問を投げかけてくれる存在って、すごいじゃないですか

そんな若者に、欅坂が発しているメッセージにとても強いシンパシーを感じています。

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欅坂46のダンスは、怖いのではなく芸術要素が強い

欅坂46が、テレビの歌番組でダンスを披露すると「怖い」「宗教っぽい」などという感想がSNSで飛び交います。

欅坂46の独特なダンスは、コンテンポラリー・ダンスと呼ばれる現代舞踊の要素があります。コンテンポラリー・ダンスは、バレエやモダンダンスなどの伝統のあるダンスから派生したもので、これまでの伝統を打ち破り、新しい形を生み出そうとすることから実践されるダンスです。

つまり、欅坂が宗教じみた独特のダンスをするのは、アイドルの伝統や王道を打ち破る「現代のカルチャー」を作ることにも通じていると解釈できます

コンテンポラリー・ダンスは演劇にも近く、単純に歌って踊るだけではなく「表現する」という新しいアピール方法でもあるわけです。ただ、理解できる人が少ないという点で批判されてしまうのは悲しいかな事実です。

どんな芸術も、理解するのが難しい作品を産んでしまうひとほど天才だったりします。有名なピカソなどがその良い例です。

欅坂46はセンターが変わらない! 平手友梨奈はプリンシパル

一般的なアイドルは、センターを務めるメンバーを楽曲ごとに変えますが、欅坂の場合は平手友梨奈さんが不動のセンターになっていることも話題になっていますよね。

これは、欅坂が芸術性を追及していると考えれば理屈が通ります。

たとえば、クラシック・バレエの世界では、その劇団の最高峰のダンサーしか、主役を踊りません。作品を完全に表現するためには、技術や表現力に優れた人が主を演じなければならないのです。劇団の主役級ダンサーのことをプリンシパルと言いますが、平手友梨奈さんは欅坂48のプリンシパルということになります

それだけ、彼女の憑依性やオーラ、技術的なセンスといったものがグループのコンセプトにぴったり合っているのではないでしょうか。

また、他のメンバーは今センターになれないからといって、劣っているわけではないということも、芸術の観点からみると納得がいきます。

舞台芸術では、主役以外の人にも大きな責任と勤めがあって、たとえその他大勢の役であっても重要な任務が任されています。そして、それを誇りに思って演ることも大事な要素

欅坂のメンバーがどう感じているか私にはわかりませんが、そういった視点でみることでより欅坂46全体の構造や良さがわかるのもまた事実ではないでしょうか。

欅坂の中にも、もっとかわいいメンバーや歌やダンスの上手なメンバーがいるのに、なぜ平手友梨奈さんだけがセンターなのだろう?という疑問は、欅坂が「人を楽しませるアイドル」としてだけではなく「世界観の表現」を追及しているというところで辻褄が合います。

欅坂46はもはやアイドルじゃない、と思うのは枠にとらわれて頭の固い証拠

芸術性だの、表現力だの、世界観だのという言葉を使えば決まって聞こえてくるのが「だったらアイドルじゃないじゃん」という言葉ですよね。

欅坂はアイドルじゃないとか、欅坂はもはやロックだとか、欅坂がロックだとか言いやがって……とか、いろんな「枠」にとらわれて頭がカチコチになっている人からの批判はあとを絶えません。

世の中の、どんなものも「何か」と「何か」を掛け合わせて新しいアイデアが生まれるものです。人の心を動かしたり、惹きつけたりするには、化学反応が欠かせないのです。

今や日本のトップアーティストとなったサカナクションの山口一郎さんの言葉を借りるなら「いい違和感」でしょう。

一見合わなそうなものを、組み合わせたときに「クセになる違和感」が生まれるわけです。特に音楽というのはほとんど感覚的に聴くものであって、メロディーや雰囲気が入り口です。その感覚を確かめるために、歌詞やダンスの細かなところ、アーティストの結成背景などを見ていく。

その感覚に訴えかけるには、まず「今までに見たことのないような独特さ」を出せるかが、重要なのではないでしょうか。それを、欅坂のメンバーは見事に演じていますね。

笑顔やハッピーだけが、すべてじゃない。それを教えてくれるのが欅坂46の暗さと力強さ

欅坂のコンセプトは、笑わないアイドルです。

この「笑わない」方向性は、サイレントマジョリティーのMV撮影のときに、メンバー本人たちが自分たち自信で「笑わないで撮ろう」と決めたことだとされています。プロデューサーからの指示ではなく、自分たちで「どう表現していこう?」と模索する姿勢は、アイドルを越え、アーティスト的です。

欅坂46は、最初から「暗いメッセージ性の強いアイドルグループにしよう」という明確なコンセプトのもとに作ったグループではありません。彼女たちの成長や伸びしろがうまく合致したラインが、この「笑わないアイドル」というところだったに過ぎないのです。

テレビ番組で「不協和音」という楽曲を演じたときは、メンバーが倒れてしまうという騒動も起こりました。全力で演じるために、楽曲の感情がそのまま憑依してしまう……ということですね。センターの平手友梨奈さん自身も「不協和音は、命を削られる曲」と話しています。

これは、指示されたセリフやダンスをこなしているのではなく、自分たちの中から出てくる感性で表現しているから、起こり得ることです。

笑顔でいれば、その分幸せがやってくる。どんなときも笑顔がいちばん。それは、そうできたらいいのでしょうが、それができないのもまた人間です。

人間は「笑っていればいい」というものではなくて、強さ、決意、憤り、怒り、迷い、悲しみ、孤独、喪失感……いろいろな感情があるのです。それを、身体全体で表現するアイドルだから、ヤバイんですよ

しかも、平手友梨奈さんは「本当はもっと明るいアイドルグループに入りたかった」とも発言しているし、彼女がインタビューで見せる素顔はとても可愛らしくて明るいんです。

あのようなパフォーマンスをするということは、平手友梨奈は暗くて病んでいるんじゃないか……なんて言われていますが、勘違いもいい加減にしましょう。アイドルは病んでいる暇もないくらいに忙しいし、相当な精神力がないと表舞台には立てません。

楽曲では独特の表現力を発揮するのに、実際の彼女は、強い芯をもった少女なんですよね。おまけにくったくのない笑顔で笑うその可愛さも持ち合わせている。そういう「幅や奥行きのある人たち」が集まっているからこそ、アイドルとしてだけでなくひとつの「アーティスト集団」として認知されているのもまた事実です

欅坂46は、音楽やアイドルに関心のない人までもを巻き込んでいる

欅坂46は、最初から今のように独創的だったわけではなく、時期を追うごとにだんだんと個性が強まってきているアイドルです

この変化をきっかけに離れていくファンもかなりの数いると見えます。実際に「最近の欅坂はおかしい」「狂気じみてる」といった、批判的な評判も多いですよね。それはそれでいいんです。違うアイドルを追いかけたらいい。

ただ、なんか怖いし今までの雰囲気と違う……でも気になるし、無性に惹かれる!という感覚を抱く人もいるでしょう。まさに、そのときが感性を磨くチャンスなのではないかと思います。

欅坂のこの変化で根強いファンの存在はさらに固まったはずだし、もともとアイドルに興味のない人達まで彼女たちに注目するようになったのは事実ですよね。

現代のPOPシーンは、ストーリーや音楽センス、強いメッセージ性といったものが揃ったアーティストが少ないなという印象です。米国譲りのEDMや韓流がどんどん参入して、他のアイドルの数も増えています。

そんな中で、このように「人間らしさ」や「暗さ」「闇」の部分を、真っ向からわかりやすく表現する彼女たちのおかげで、J-POPに興味のない人や音楽やアイドル自体に感心のなかった人までもを引き連れてきたわけです。この部分にもっと多くの人が気づいてくれるといいのではないかなと感じます。

暗さや闇から得られるものは、正直ちょっと難しいものではあります。暗さの中にある、一筋の光を見つけることができれば、彼女たちの命を削った独特のパフォーマンスがより輝いて見えるのではないでしょうか。/Kandouya編集部


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