
HSPはひきこもりや不登校、心の病気との関係が深いような印象を受けている人も多いのではないでしょうか。
HSPを自覚している人は私を含め、心の病気を経験している方や、現在進行中の方もすくなくありません。HSPは病気でも障害でもありませんが、うつなどの心の問題を引き起こしやすい傾向にあるのは確かなのです。
HSPは、ひといちばい「ネガティブなエネルギー」に弱いです。他人からみたら、気にするほどでもない言葉、視線、人と自分の違い……。これが全て、肌に突き刺さってくるわけですね。
HSPであるために、普通といわれるような環境でも心が折れやすい。もしくは、HSPでありながら社会の荒波や、悪い家庭環境や親子関係の中で育ってきた。このような人がたくさんいて、その中には心の病気や、引きこもり、不登校などの問題に直面しているのです。
HSPは、ひとよりもうつや心の病気になりやすい

生きづらさから「自分はHSPかもしれない」と自覚している人は、心の病気に発展しやすい考え方や捉え方をしがちです。
うつになる人、心の病気になる人は真面目で完璧主義な人が多いと言われていますよね。HSPにはこの「真面目」「完璧主義」な人が少なくないのも事実なのです。
HSPは、物事を深く考えすぎる傾向にあります。普段からよりたくさんの刺激を受け取り、常に脳が膨大な情報を処理し続けている状態。意識していなくても常に物事を一生懸命考えたり、分析したりするため、とっても真面目な性格な人が多いのです。
また、受ける刺激の量や情報量が多いため、その分ストレスを受けやすいということ。
ストレスを感じると、自然にストレス要因を解決しようとします。
「ストレスの原因を特定して排除しなければ!」
という心理が働くので、白か黒の完璧主義にもなりやすいです。真面目で完璧主義というのは、うつになりやすい人の特徴の一つです。
何でも
「まぁいっか!」
「あ~もうやめた!」
と、いい意味で雑に、楽観的に考えられる人に比べて心の病気のリスクは高まると考えられるのです。
ひきこもりや不登校も、HSPとの関連がある

ひきこもりや不登校など、社会に適合できない状況になるにも原因があります。
例えば
- 大勢の友人の輪に入ると疲れる
- 人ごみの騒がしさがしんどい
- 人の感情を読み取ってしまうため友人関係が疲れる
- 人が求めているように動いてしまうので疲れる
- 他人の言動を無意識に分析してしまうので疲れる
なんでもない、普通の人間関係の中で大きな疲労を感じてしまうため、接する人の数が増えれば増えるほどしんどさは大きくなります。
学校や会社など、人が大勢いる場所では、一人ひとりの感情や表情などを無意識に観察してしまいます。
「自分がどう行動したいか」
というよりも
「周囲の人が今何を思って行動しているか」
が気になってしまうので、ものすごくエネルギーを消耗してしまうのです。
社会は人で成り立っています。人に対して敏感で、エネルギーを奪われてしまうHSPは、大勢の人が行き交う学校や会社という集団になじめないのはもはや当然。
学校や社会に馴染むのが普通、と考えられていますが、HSPからすると、集団や雑多な環境にすぐに馴染める人のことが不思議で仕方がなかったりもするはずです。普通なんて、誰かが勝手に決めて、勝手に作り出したものですから、HSPの人が他人の「普通」に振り回されて悩んでしまうのは、実際おかしな話でもありますね。
集団に馴染めないことや、みんなと同じ行動ができない人は、社会不適合者などという言葉で異端児扱いをされてしまいがちですが、そんな見方はもう時代遅れと言ってもいいはずです。
- 絵をかくのが苦手
- 計算をするのが苦手
という感じで、誰にでも苦手なことがあるように、HSPは刺激の多い場所や人のエネルギーが活発に行きかう場所は苦手だというだけ。
HSPを語るときには「気質」という言葉を使います。
- 背が低い
- 視力が悪い
- 歯並びが悪い
- 活舌が悪い
- 太りやすい
こういった、遺伝的な体の個性と同じようなものなのです。
HSPの場合は、遺伝的な体の特徴が「心」に直接作用する
背の高さや視力といった体の特徴となんら変わりはないのですが、HSPの場合は脳の働きが直接「心」に作用してしまうのが厄介なところです。
様々な刺激を受け取ると心が動揺したり混乱したりするので、精神が安定しにくいというのは認めざるを得ないのです。
病気や障害ではないにしろ、HSPの度合いが高い人にとってひきこもりや不登校、心の病気は、普通の人よりも近い距離にあることは確かですね。
HSPがうつや心の病気にならないために

今の時代は不登校に対するケアも充実し始め、高卒認定や大検をとることも可能です。さらに、家庭教師が遠隔授業で個別指導してくれるサービスもあるし、通信制高校の数も増えています。
HSPは真面目にコツコツ作業をすることが得意な傾向にあるので、自分に合った方法を見つけることさえできれば何の心配もありません。無理に社会に適用しようと躍起になる必要はないでしょう。
ただし、社会人として生きているためには、やはりメンタルトレーニングをすることは欠かせないと考えています。
①自分はHSPだと頭に叩き込む
人よりもストレスや疲労を感じやすい……それはあなたが「持って生まれたもの」です。
- 気合が足りない
- 情けない
- 怠慢だ
- 自分はダメな奴だ
HSPの特性によってエネルギーを消耗しているだけなのに、まるで自分が悪いかのように考え、自分を責めるのはやめましょう。
あなたが悪いのではなく、HSPの特性のせいなのです。自分の怠慢や根性のなさに悩むこともあるかもしれませんが、それはいったん置いておきましょう。
②いつものパターンを知り、危機回避する
HSPは、どうやったってストレスを感じてしまうので「いつもの自分のパターン」を知り、分析します。
そして「これ以上無理したらパンクする!」というラインを見極めましょう。
HSPゆえに受けたストレスに対しては、自分なりに調整やケアをして、メンテナンスをします。
血圧が高めの人が脂っこいものやお酒をとりすぎないようにセーブすることと同じです。
例えば……
- スケジュールを詰めすぎない
- 1人の時間を確保する
- 嫌なことや無理なことは断る
- 自律神経の調整
- スマホの電源を切る
- 好きなことに没頭する
あくまでも一例です。
自分がリラックスできる方法、自分がきつくならないための調整方法を確立しておきましょう。
何が一番効果的か、というのは一概には言えません。同じHSPでも、まったく同じ人というのはひとりとしていませんので、これはあなたが自分で探っていくものだと思います。
外部の刺激に弱いなら、刺激を受けないように配慮する、ストレスを消化させるためにケアをする。これを意識的にやってみてください。外に向けた行動や、交友関係を保っていきたいなら、その分ひとりの時間を確保してリセットする時間を増やすなど、それぞれに合った方法でやっていきましょう。
③努力はしても、我慢はしない
HSPは人より苦手なことが多い反面、様々なことに気が付くので周囲からの評価はとても高いのが特長です。特に、外向的な特徴も兼ね備える「HSS型HSP」に多い傾向です。
- 仕事ができる
- 要領がいい
- 人柄の評価も高い
- 頭の回転が速い
- 多才
このような特徴から、人から色々なことを頼まれたり、いいように使われてしまうこともあります。
理解力が高く良心的なため、他の人の尻拭いまでさせられたり、褒め言葉を使って何でも一挙に任されたり……ということもあります。
HSPは真面目で完璧主義なので、それに対しても100%で応えてしまいがちです。人の言いなりになってしまうと、自分の首を絞めるだけ。我慢してやり遂げるのは、努力とは違います。
努力とは、自分のやりたいことを磨くことであって、我慢して何でも引き受けることではありません。
また、理不尽なことを言われたりされたりしても、我慢して飲み込んでしまう人も多いです。HSPは「考えすぎ」「気にしすぎ」な傾向にあるので、反論や不満を口にするのが苦手。
自分の主張をするタイミングを失い、我慢するというパターンに陥ることも少なくないのでは。
自分には合わない、無理だと思ったら、方向を変えていくのも大事な自己防衛です。自分をうまく開放して、エネルギーを逃がしながら成長する方向にシフトチェンジしていきましょう。
HSPがうつや心の病気にならないための予防カウンセリング

日本ではカウンセリングに通うというと、すでに心の病気を抱えていたり、問題が起こっていると捉えられます。
しかし、海外では誰もが自分に合ったホームカウンセラーをつけていて、ちょっとした悩みやトラブルを相談するシステムがあります。
また、日本人は風邪をひくとすぐに病院に行きますが、海外の人は風邪くらいで病院へは行きません。日本人は心の問題が深刻化するまで精神科を受診しませんが、海外ではメンタルの問題は真っ先に専門機関に相談するのが普通です。
心の問題は、放置してしまうと悪化します。
悪化したら、治すのに何倍、何十倍もの時間がかかるもので、場合によっては手遅れになることも。
HSPで苦しんでいる人はカウンセリングやセラピーなどに積極的に通い、メンテナンスやメンタルトレーニングをするのも必要な考え方です。
自分の心は自分でケアできるよう、うつや心の病気へのリスクを自覚して、具体的に対処法を考えることも私たちには必要なのではないでしょうか。/Kandouya編集部
https://kandouya.net/mentalhealth/7466/