些細なことが気になるHSPは立ち話や雑談が苦手

ちょっとした雑談や、出会い頭の立ち話。「人間力のある人は、雑談がうまい!」なんていわれることもしばしばですが、HSPは雑談が苦手な生き物です。
雑談とは「雑」に話す、つまりテキトーに話すという意味です。会話の内容なんて、あってないようなもの。「やっと晴れましたね」とか「今日は寒いね」なんていう天気の話でも十分です。
でも、HSPは頭の中が常にたくさんの情報と刺激でいっぱいなため、他人と雑に会話をするということが難しいのです。
この記事では、なぜHSPが雑談に弱いのか、そして少しでも雑談に慣れていくための方法・考え方をお話します。
HSPが雑談を苦手とする理由とは?

HSP気質の人が雑談に弱い理由を明確にしていきましょう。
①雑談内容よりも周囲の様子に気が行く
雑談が起こる状況は、周りに人が複数いる状況が多いもの。
例えば
- 職場内
- 通勤通学途中
- 幼稚園や学校行事
- 近所での立ち話
- 外出先でたまたま知り合いにあったとき
こんな風に、なんとなく出会ってなんとなく会話が始まるのが「雑談」です。
周囲はガヤガヤしていたり、人通りがたくさんあったりすることも。さらには、忙しい朝の時間帯や通勤通学途中、限られたお昼休みの時間などなど…状況は様々です。
すると、周囲に気を遣いすぎるHSPは、雑談の内容よりもまず周囲の状況に気持ちが持っていかれてしまいます。
- ここでしゃべっていると邪魔にならないかな?
- 私たち2人は、仲良しに見えているのかな?
- 暇だなって思われていないかな?
- もう少し静かな場所で話したいな
こんな風に、一度にたくさんの不安や疑問が頭に湧いているのではないでしょうか。
②雑談の内容も気になる
周囲の状況にも気をとられつつ、更に会話の内容にも気を遣います。
- 気の利いた質問を返した方がいいかな
- また天気の話なんてつまらないかな
- 相手が気持ちよく話せるようにしたい
非常に無意識的ですが、会話の内容にもとても気を遣い、上手な返しができないと凹みます。
相手と別れた後も「何だか、つまらない返ししかできなかった。」「何か失礼なことを言わなかったかな。」などと不安になり、思考のループが止まらないことも…
③相手の状況も気になる
雑談中は、相手の状況にも気を遣ってしまいます。
- 相手はどのくらい時間があるのだろう
- 早く切り上げたいって思っていないかな?
- またこの話って思っていないかな?
- なぜ私に話しかけてきたのだろう?
これもまた無意識的に、頭の中を駆け巡っています。HSPはたった1つの事柄について何倍も掘り下げて考えるため、このように余計な考えや疑問が次から次へと湧いて出てくるのです。
④予想外の出来事が苦手
HSPは予想外の出来事に遭遇するのがとても苦手です。
- 外出先で知り合いに偶然会う
- 段取りしていた作業が雑談によって狂う
このように、自分の頭の中で組み立てていた予定や作業が、予想外の出来事によって崩されることで大きな不安を感じてしまいます。雑談は「さぁいまから雑談しましょう!」と予定立てて始まるものではなく、予想外の出会いから自然に始まっていくもの。
これが人間らしいコミュニケーションや暮らしの華でもあるわけですが、HSPにとっては少しハードルが高いといえます。
HSPが雑談への苦手意識を克服するには?

人と接してい暮らしていく以上、やはり雑談や立ち話をするシーンは必ずあります。少しでも自分のストレスや緊張を和らげるためには、こんな心がけを取り入れてみてください。
対策①「雑談したほうがいいいのかも?」と思わない
挨拶だけして通り過ぎればいいものを、こっちから「何か話した方がいいかな?」「ひとこと返さないと感じ悪いかな?」という風に深堀して考えてしまい、雑談する空気を自分から作り出していることってありませんか?
これは、HSPが相手に気を遣いすぎてしまう事例でもあります。
- あいさつは思い切り愛想よく
- 小走りで移動して忙しさをアピールする
- 特定の相手に会いやすい時間を避けて行動する
あいさつだけは感じ良く、愛想よくしておけば立ち話をしなくても、相手にいい印象を与えることができます。
無理に「何か話した方がいいのでは?」と思わず、あいさつだけに全力を注ぎましょう。
また、小走りで移動するのはかなりおすすめです。
急いでいることが周囲に分かるので、長々と続く立ち話に誘われることが減ります。
②会話の内容は何でも良い!気にしない!
会話の内容がつまらなかったいけない、気の利いた返しをしなきゃ…
そんな風に自分に厳しく考えるのはやめましょう。相手はきっと何にも考えないで話しています。それに、雑談は「雑」に話すことだともう一度認識しましょう!
- テンプレ的な会話でもOK
- つまらない会話でもOK
- 気の利いた返しなどできなくてOK
- 「あはは」と笑うしかできなくてもOK
自分に厳しくせず、笑顔で接することさえできればOKとしてあげましょう。また、雑談後に自分の言動を振り返って不安になるかもしれません。それもなるべく途中で阻止すること。深く考えすぎるクセをやめ、他のことに思考を費やしてあげてください。
③上手に話を切り上げるスキルを高める
話を切り上げるスキルを磨くことも大事です。HSPは相手の気持ちがよく分かるため、気持ちよく話している人の腰を折らないように、聞き役に徹しがち。
でも、話を切り上げるタイミングはしっかりと計りましょう。
切り上げるときのコツは、相手を褒めたり励ますこと!ポジティブなメッセージを送ると、良い区切りとなって話が切り上げやすくなります。
- そうだったんだ、大変だったね、頑張ってね!
- すごいですね!今度ぜひ見せてください!
- もっと聞きたいので、今度時間作って話しましょうね。
相手への応援や褒め言葉を持ってくると、話がそこで区切りやすくなります。最初は難しいかもしれませんが、とにかく深く考えずに明るく、歯切れよく!みんな忙しいのですから、ちょっと無理やりにでも会話をスパッと終わらせても罪にはなりません。
雑談が苦手でもいいのさ。だってHSPなんだもの。

個人差は大きいかもしれませんが、私自身、たった数分の雑談でものすごく疲れてしまいます。話すのなら、ちゃんと話す場を設けてお茶したり、食事したりするほうがマシ。たった数分の井戸端会議ほど神経をすり減らすものはない、とまで思ったことがあります。
こんなことで疲れたり、嫌悪感を覚える自分をずっとダメな人間だと思ってきたのですが、HSPの特性を知ってからこれも、解決しました。相手のことや周囲のことを考えすぎるせいで、雑談や立ち話が苦手なのだ。そう自覚するだけで、すごく楽になりましたよ。
雑談が苦手なのは悪いことではありません。相手を思いやれる人ほど、上手に話そうと意気込んでしまうのです。
決して悪いことでも、わがままでもありません。自分の苦手なことと、上手く付き合っていく術を身に付けてみてくださいね。
(ライター・夏野新)