HSPの理解されないつらさは、とてもぼんやりしている

HSPは、その敏感過ぎる感受性や観察力の鋭さから、ストレスを抱えやすくなります。
そして、周囲からの理解を得にくいのもストレスを大きくする要因になっていることでしょう。
そして私たちHSPは、周囲に対して何をどう理解してほしいのかぼんやりとしかわかっていない部分も大いにあるのではないでしょうか。
HSPが「もっと周囲に理解してほしい」と願うのは、「私は繊細なんだから、気を遣ってよ」「周りの人は鈍感で嫌になっちゃう」といったような自分本位な要望ではありません。人を見下していたり、自分の繊細な感性を鼻にかけたりするようなものでもありません。
HSPの気質を自覚するまでは、自分の感覚と周囲の感覚との差に悩んだり、憤りを感じたりすることがあったかもしれません。
しかし、この気質を自分自身が理解した上で悩んでいる場合、このような思考には至りません。この記事では「HSPの理解されない悩み」の本質を紐解いていきます。
HSPの理解されない悩み4つ

HSPの私が、実際に感じる「理解されない悩み」をひとつずつ掘り起こしてみました。もしかしたらこの中に、あなたにも当てはまる心のモヤモヤが隠されているかもしれません。
「わかってほしい」と「わかってもらえるはずがない」の間を生きている

HSPは、自分の頭の中で考えていることや感じていることを、本当は誰かに理解してほしいと思っています。人は誰でも、誰かに認められ、共感してほしい生き物です。
しかし、HSPの感じていることはとても複雑で、奥行きが深く、言葉では表現しきれないところが根本的な悩みの種なのではないでしょうか。
私は、本当の意味で自分の考えや感覚を他人にわかってもらうためには「頭の中を割って見せるしかない」と感じることがあります。例えば、ひとつのものごとに対しての考えを話そうとしても「どこから、どこまでを、どの程度の時間をかけて話せばいいかわからない」のです。
HSPは、自分の伝えたいことを100%伝えることよりも「話を聞く相手がどう感じるか?」の方が重要だと考えてしまうところがあります。また、本当にわかっているのか、わかったふりをして聞いているのかなども感じ取ります。そのため、途中で理解してもらうのをあきらめてしまうことも多いのです。
わかってもらえないことが大半、常に本音を飲み込んでいる

HSPは、日常生活の中で本音を飲み込むことが多くなると考えています。HSPは人の気持ちにとても敏感。そのため「相手が心地よく過ごしているか?」「退屈していないか?」など、他人の快不快をメインに考えてしまうのです。
HSPにとっては、自分の目的を達成することよりも、相手が楽しく過ごせているどうかのほうが重要なのです。するとどうしても、自分の言いたいことや本音を飲み込んでしまうことが増えます。しかも、HSPは先天的な気質です。幼いころからずっと同じことを繰り返してきたために、自分が本音を言えていないことに気づいていません。無意識のうちに自分の主張を飲み込み、自分の中に欲求を溜め込んでしまうのではないでしょうか。
配慮や優遇なんて、求めていないのに……

HSPは刺激に対して敏感です。日々の生活の中には刺激や問題だらけ。それでも、みんな人並みに頑張って日常を生きていますよね。
自分の気質に悩んでいるHSPは「周囲の人に迷惑をかけている」「人の輪を乱してしまう」ということに、強い罪悪感を感じています。
人と同じことができなかったり、すぐに体調を崩したり、ストレスで寝込んでしまったり……。自分自身の心を体がつらいのに、さらにそのことで人に迷惑をかけたり、手間をとらせてしまうことで、さらなる心労を抱えてしまうのです。
だから、決して「私はHSPなの、もっと気を遣ってよ!」「私は鈍感な人と違って、傷つきやすいのよ!」と、周囲に自分の言い分をぶつけるようなことはしません。
少なくとも、表面では調和を保とうとするものです。もし、こういった要望をぶつける人がいたら、それは正直なところHSP気質とは違う原因によるストレスのせいなのかもしれないと感じます。
気質を受け入れるのは、簡単じゃない

HSPとうまく付き合っていくには、自分の気質を受け入れることがいちばん大事だといわれています。もちろん、私もそう感じています。
しかし実際のところ、HSP気質を受け入れありのままの自分に自信を持つことは、本当に本当に難しくありませんか?自分では受け入れたと思っても、またすぐに新しい悩みが生まれます。生きていれば、環境も状況も変化しますよね。その変化についていくのも精一杯。無意識にやってしまうHSP特有のクセというのは、いつまでたってもつきまとうのです。
受け入れるのだって、簡単ではないのです。自分自身でさえも理解しきれないものを、他人に「理解してほしい」と願うのも、なかなか難しいことではありませんか。だからこそ「わかってもらえなくて当然」と、引き下がってしまうのです。
理解されない悩みを持つ人こそ、運命のHSP仲間に出会うべきだ

HSPの理解されない悩みは、やはり同じ気質をもった人と繋がる以外に解消方法はないと考えています。私は、誰かに自分の気持ちを、本当の意味でわかってもらえたときの感覚を、ぜひあなたにも味わってほしいです。
HSP当事者と繋がって、話すことの大切さ
同じHSP気質をもっている人と親しくなってみると、自分が思っていることの伝わる速度の速さにおどろきます。自分が用意していたものが10あったとしたら、3くらい話せば伝わってしまいます。
このときの感覚を味わってほしいのです。今まで「どこから話そう?」「どう表現したらいいだろう?」「この感じだと、最後までたどりつけないかも」そうやって、目まぐるしく考えながら話していたのがうそのように感じるのです。
自分のHSPタイプを知り、同じ人を探してみる

HSPといっても、さまざまなタイプがいます。内向型HSP、外向型と内向型を兼ね備えたHSP/HSS、HSPだけでなくその他発達障害を抱えた人、HSP気質をもちながら過酷な家庭環境で生きてきた人など……
精神科医の長沼睦男先生は、HSPの気質を「スポンジ」に例えています。いいことも、悪いこともスポンジのように吸収していくのが、HSP気質の特徴です。そのため、同じ気質をもっていても、どんな環境に置かれるかによって性格が大きく違ってくることがあるのです。
そのため、できるだけ自分のタイプに似ている人、同じ環境で育っている人、同じ悩みと戦っている人を探すことが大事です。こうしたメディア記事に共感することからはじめ、HSP交流会や自助会などを活用するのもいいですね。SNSでも、HSP気質について情報交換している人が増えてきています。運命のHSP仲間に出会うことは、あなたの理解されないフラストレーションを取り払う大きなきっかけになるでしょう。
内に秘め過ぎ、心を閉ざさないこと
「理解されない」この、つらさを感じたことのある人はあなただけではありません。自分は人とは違うと、悲観しないでほしいのです。私は、HSP気質のことをよく知らなかったころ、自分に対してこんなネガティブなイメージを抱いていました。
- 根暗
- 卑屈
- 神経質
- 変わり者
自分の考えから趣味嗜好まで、興味をもってくれる人や理解してくれる人がとても少なかったため、自分は人と違う変な人間なのだと思っていました。しかし、それは理解されない状態が続くことでより内向的になり、自分を閉ざしていただけだったと気付いたのです。
HSPはスポンジです。理解されない、わかってもらえないという寂しさも、ひといちばい強く感じます。理解されないのは、自分が人と違うからではなく「理解された経験が非常に少ないから」というだけ。あなたには何の問題もありません。あまりに内に秘めていくと、人を信用できず、ひねくれたものの見方をするようになってしまうこともあるため注意が必要です。
HSPは5人に1人!どこかに必ず、あなたの理解者がいる

HSPは、五感の刺激や人の感情に敏感なことで、まず第一段階のストレスを抱えています。さらに、感じていることや心配なことについて、完全に理解された経験がとても少なく、第二段階のストレスが重なります。そして、自分が好きなことや頭の中で巡らせた空想について、話したり、共感したりしてもらう機会も少ない……だから、寂しがりやになったり、内向的になっていってしまうのも無理はないのです。
だからこそ、HSP同士でつながっていきましょう。運命のHSP仲間に出会ってください。たったひとりの理解者がいれば、人は楽しく生きていくことができます。あなたが感じることを、あなたが感じたままで受け取ってくれる人が、きっとどこかにいるはずです。/夏野 新