「HSPだからネガティブ」というのは間違い

HSPとは、感受性が強く、外的刺激に対して敏感に反応する気質のこと。
この特徴から、HSPはときにネガティブなイメージを持たれてしまうことがあります。
- 内気
- 引っ込み思案
- 根暗
- 人嫌い
- 神経質
- めんどくさい人
これは、他人から見たときのイメージだけでなく、HSPの人が自分自身に対して持っているイメージである場合も。
物事を深く考え過ぎたり、様々な情報や刺激に反応しているため、すぐに疲れたり、不安を感じたりすることも増えます。
すると、人の集まる場所を避けたり、人と会話することを避けたりという行動に出る場合もありますよね。
しかし…
- HSPの特性を持っていること
- HSPの特性により疲労感や悩みを抱えやすいこと
このふたつは、別物です。
内気・根暗・神経質というネガティブなイメージと、HSPは直接的な関係がありません。
この記事ではHSPに対する悪いイメージを払拭するべく、HSPと内向型・外向型の性格について解説してみます。
HSPはネガティブじゃない!【外向的・内向的】の違い

人は、アクティブに活動する外向型の人と、落ち着きを求める内向型の人がいます。
内向型と外向型は、もちろん生まれもった部分で分かれていることもありますが、実は環境要因の影響が大きいとされています。
程度には差があるためきっちりと2パターンに分けられないこともありますが、だいたいどちらのタイプであるかご自身で判断してみましょう。
HSPでも外向的な人の特徴
- 大人数でワイワイするのが好き
- 共通の友人を多く持つ
- 予定がぎっしりつまっている
- 休日は旅行や行楽が中心
- 連絡やコミュニケーションは電話派
- スポーツサークルなどに入る
- 他人と話すことが好き
- 話し方が魅力的でおもしろい
このように、外向型な人の特徴を上げてみると実にたくさん浮かんできます。
HSPは静かな環境や、少人数を好む傾向あると思われがち。
「HSP=大人しい」「HSPはスポーツより読書が好き」「HSPは常にのんびり静かに過ごす」
このようなイメージは誤解なのです。
HSPの中には、外向型の特性を持っている【HSS型】タイプの人がいます。
HSPのうち、外向型タイプである人は約25~30%の割合で、HSPの中でもさらに少数派となります。
HSPでも内向型の人の特徴
- ひとりで過ごすのが好き
- 友人は少人数と深く付き合う
- 話すより聞く方が多い
- 外出より家でのんびりするのが好き
- 連絡やコミュニケーションはメール派
- よく考えてから実行する
外向的な人の特徴とは違いますが、内向型の特徴はHSPの人には当てはまりやすいです。
内向型のHSPはネガティブと結びつけられがち

HSPであること、もしくは内向型の性格であることに、ネガティブなイメージを持ってしまうことはありませんか?
私自身、HSPを自覚するまで、自分を暗くて内気な、ダメな人間だと思う節がありました。
というのも、明るくて外向的な人の行動や好みを基準にして、物事を考えていたからです。
内向型と外向型で優劣はない
例えば…
- 大人数で集まることを楽しめる方がいい
- その場にいる人の価値観に合わせるべき
- 話が上手で、会話の中心になれる人は優れている
- 知り合いが多く、人脈がある人の方が優れている
私は、外向型タイプの性格であること、またそれを心から楽しめるのが「優れた人」だと思っていました。
しかし実際は、外向型の特徴の方が優れているわけではありません。
もちろん内向型の方が優れているわけでもありませんし、内向型だからといって人生が暗くて寂しいものというわけでもない。
つまり、HSPは内気で暗い、神経質などというネガティブなイメージを持つのは、間違った考え方なのです。
標準ラインはあくまでも両者の【中間】であり、自分が内向型でも外向型でもどちらでもいいはずです。
外向型はポジティブというのは「イメージ」にすぎない
世間一般では、外向的な人の特徴が標準ラインになっている人がとても多いように見受けられます。
- 大人数で楽しく飲み会やパーティをする
- 人とたくさん話してストレス発散する
- 友達・人脈は多い方がいい
このような様子は、確かにポジティブでイメージが良いですよね。
そして外向的な人の価値観が「標準的」だと思っている人は、実はとても多いのです。
楽しいと感じること、好きだと思うものは人によって違う
HSPである人や、周囲の人と自分の特徴との違いに戸惑っている人は、まず自他を区別して考えることが必要です。
- 周囲の人が楽しめることが、自分は楽しめない
- みんなで盛り上がっている場所に入れない(入りたくない)
- 誰とでもうまく話したり、うまく交わしたりすることができない
このような悩みは、あなたのコミュニケーションスキルが劣っているせいではありません。
それぞれは脳の情報処理の仕方が全く違っているので、無理に合わせようとしても疲労やストレスが増えるだけ。
脳の発達具合や傾向は、人それぞれです。
HSP気質の現れ方も、外向型・内向型のバランスも千差万別。
仕事や対人関係では、外向型としてふるまうことができるけれど、家に帰ってひとりになったら内向型としての自分に戻る……という生活をしている人も多いです。だから、内向型だから〇〇・外向型だから△△という極端な分け方などできません。
それは他人と自分を比較して悩んでしまう人にも言えることです。
他人と違うことは、あなたが人より劣っているのではなく、別の人間なのだから当然のことです。あなたが「あの人はすごいなぁ」と羨ましく思う人も、実は帰ってから内向的で悩みやすい自分に劣等感を抱えて、考え込んでいるかもしれない。人間の本当の姿など、他の誰にもわからないものなのです。
だからこそ、自分自身の敏感な気質や、内向的な性格を悪く感じたり、劣等感を持つ必要は全くもってありません。
HSPでも性格には個性が出るもの!

HSPといっても、そのレベルや特徴は様々です。
というのも、人の性格や価値観は育った環境や、学校、職場、友人など【外的要因】がとても深く関係するからです。
HSPは、たった一つの情報に対してより深く思考します。物事を強く受け止めやすいため、傷つきやすく、根に持ちやすいことも。
そのため、環境からの影響によって内向型の傾向が強くなったり、外向型に近づいたりと変化するのです。
人間の思考や価値観、物事の捉え方は一つの要因からなっているものではありません。
自分を客観的に見つめ、ひとつひとつ紐解いていくと、あなたらしい生き方や考え方で、自然に生きられるようになります。
決してHSPであることや、内向的であることに劣等感を抱かないでほしいです。同じことで悩んでいる人や、同じような内向型タイプの人は、沢山います。それなのに、多くの人が「活発でアクティブな外向型」に合わせなければいけないような気がして、無理している部分があるのではないでしょうか。
疲れたときは、ひとりの時間をしっかり確保し、自分の本当に好きなことや本当に落ち着ける環境を楽しむ時間を作ってみて欲しいと思います。/夏野 新